ピロシキ

ベルリン・アレクサンダー広場のピロシキのレビュー・感想・評価

4.3
初めは鬼畜なまでに退屈で仕方なかったけど、7話あたりからだんだんノッてきて、なんやかんやで13話まではかなり前のめりで見届けた。そして迎えた14話(エピローグ)。これに関しては色んな言葉を尽くすよりも、もう「ファスビンダァァーー‼︎」だった。これまでのエピソードをひっくり返す、なかなかファスビんだ「夢」のイメージ。とにかくめちゃくちゃファスビんでた。

ちなみにこの主人公の太ったオヤジ、不思議なほどモテる。世話役のオバさん以外全員食ってるだろぐらいの勢いで女好きが溢れすぎて、女が途切れない。しかし偉いのが、毎回どの女もわりと全力で愛すところ。好きな女をボートに乗せて、片腕で一生懸命オールを漕ぐオヤジに、だんだん愛着が湧いてくる。これが2時間の映画なら単なるDVクソ野郎で終わるんだろうが、15時間もこのオヤジを追いかけ回すのだから、見ているこっちだって何も感じないのは嘘である。そのうえこのオヤジ、色恋ザタ以外にもなかなか劇的な人生を送っており、一話の中にもわりかし起伏があったので、見始めればあまり飽きることはなかった。

とはいえ、ただの女好きで終わらないのもファスビンダー。あの魑魅魍魎跳梁跋扈みたいなエピローグはきっとものすごくパーソナルで、ファスビンダー自身が経験した苦しみを投影しているのだろうけど、とにかく闇(病み)が深すぎる。こんなの本当にドイツのテレビで流れたのかよ。最高かよ。
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