二瓶ちゃん

神々の深き欲望の二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

神々の深き欲望(1968年製作の映画)
3.6
行きたかったミニシアターでやっていたので。

日活。

長い。3時間なんだろうけど、鑑賞中は体感4時間ぐらいに感じる。退屈することはなく、かと言って笑うほど面白いというわけでもなく、ただただ圧倒に圧倒を重ねていた。たぶん映画館だったからかしっかりと見ることができた。

鑑賞後はこちらに泥を投げてきて、こちらが土まみれになるような気分になる。もう心がいろんなものでドロドロ。ホラーかこれは。

しっかりとストーリーを追えていたか、劇中で交わされる言葉たちを全て理解できたかは疑問だが、美しさという意味でも、土着的な人々のあれそれを描くにしてもゴテゴテとした印象を受ける。

面白い、あはは、なんてそんな作品ではない。

アリアスターが参考にする部分もわかる。外部からやってきた人間が巻き込まれるという展開はミッドサマー。

ミッドサマーは宗教的な感じだったけど、日本人が描くと、舞台が非常に閉鎖的で、同調圧力に負け、迷信に背くと、なんだか言葉にできないけどまずいような感じがするのが、ものすごく日本だなぁと感じた。

登場人物が多くて理解しきれなかったけど、あとで振り返るために自分がわかり得たストーリーラインを載せておく。↓

クラゲ島。沖縄のような島が舞台。たくさんの人たちが漁業で生計を立てていそう。島では「ノロ」と呼ばれる巫女が活躍して、神とのコミュニケーションを図っていたが、ある日東京から技師が来る。それは島の灌漑設備や空港建設のためで、ボーリング調査をしている。島には発達障碍を抱えたような女の子、トリ子がおり、技師は東京に妻子ある身分ながら、トリ子をカカァとしてもらうことになる。島で20年ほど「ノロ」のリーダーを務めていた「ウマ」は自分が神様に見捨てられているのではないかと思い始める。それは自身の処女を15の時に兄に奪われていたからだ。そしてウマはノロをトリ子にリーダーをしてもらうことにしようとする。島一番の大きなお祭り「ドンガマ祭」が行われた後、ウマは兄と結託し船で島を抜け出す。島の男たちは船でウマたちを追いかけ、仮面をした上で、兄を殺し、ウマを赤い帆の船に磔にする。一方のトリ子は東京へ行ってしまった技師を飲まず食わずで西の浜辺で待って餓死してしまう。5年後、東京からクラゲ島に帰ってきた技師は島を縦断する機関車に婦人と共に乗るのだが、そこで前述したかつてのクラゲ島の話と伝説を耳にし、機関車の交換士はトリ子の幻影を目にするのだった。

自分はマジで一部分しか理解できなかった。まぁストーリー読むよりも見てもらったほうが早い映画で、この作品もパルムドール取ってもおかしくないな、っていう熱量や狂気を感じることになると思います。ネキチとか龍とか亀とかの話がいまいちわかんなかった。

4Kに修復されて美しすぎる撮影、言葉の外の怖さを感じる島の風土、ある一つの事件を描くような勢いの大きさ。鑑賞後にはとんでもないものを浴びた気分にさせられるのだが、面白いかどうかを測る作品でないが、明らかな熱量はあったし、古い音声も聞き取りづらいというほどではない、しかし自分の好みどストライク!というわけではないのでこの評価。

長谷川和彦監督が出ているらしい。