たわだ

バットマン ビギンズのたわだのレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
3.0
オリエンタルなセットと渡辺謙はインセプションに、作戦前夜の文化祭的な興奮とテクノロジーへの無垢な憧憬はインターステラーに継承されている。
キリアン・マーフィーの演技力の幅は、特にピーキー・ブラインダースシリーズを見た後では際立っていた。
執事のアルフレッドがブルースを諫めるシーン、レイチェルが復讐と正義の違いを諭すシーンでは、(道徳が腐敗したゴッサムにおいて)正義とはなんなのかという主題が明らかになる。
「影の同盟」は世直しのためにゴッサムを掃討する(necessary という語で表されるような必要悪の)重要性を語っていたが、その行動原理がいまいちよく理解できなかったので悪役としては魅力に欠けていた。
社会的な背景をゴッサムシティの特殊なランドスケープとして表現している点は評価できるが『構造的に作り出された貧困のなかで弱者は結局、ヒーローの登場を待つしかないのか』という漠然とした消化不良感が残った。
映像的にはドクター・クレインの使用する薬物により幻覚が誘発され、疑心暗鬼に駆られ猜疑心に取り憑かれた人々が互いを襲い合う、という点が効果的だった。
ノーラン作品の格闘アクションシーンは全般的に大袈裟なBGMで間延びしている感がある。危機的状況をリポートするための匿名の代弁者(水道局のおじさん)が急に出てきて危機とともにパッタリいなくなるのもノーラン的。ジョークの後に間のシーンが無く、恥ずかしがるように次のカットに移るのもノーラン的。
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