一粒万倍日

レオニーの一粒万倍日のレビュー・感想・評価

レオニー(2010年製作の映画)
3.8
ノグチイサムの母であるレオニー・ギルモアの生涯を通して、ノグチイサムをより理解できたように思います。

女子大学生時代に語っていた「平凡は退屈だ!」という価値観を、レオニーは生涯貫いたのではないだろうか?

日露戦争前の明治時代に、アメリカに渡って英語での誌や文学を認められたヨネ(米次郎)は、当時の限られた特権的な人であったと思う。
そんなヨネの人生計画には、編集者であったレオニーは外れていたのだろう…。

妊娠を知って日本に帰ってしまったヨネの身勝手さ、そんな仕打ちに耐え一人出産する。ヨネの誘いで幼いイサムを連れて日本に来るも、ヨネは日本で既に結婚していたという更なる仕打ち。

当時本宅と別宅を持てるほどの経済的な余裕があったからこそ…というか、ヨネも遠く異国の地で暮らすレオニーを出来る限りのサポートはしていたけれど、そんな妾的な立場でいることをレオニーは受けいれられるはずもなく別れることに。

イサムが8歳の時に茅ケ崎に家を建てる設計を任せたり、大工の弟子入りをしたりと、期待だけでなく当時からその才能を感じていたのだろう。
8歳の子供にとって貴重すぎるものづくりの経験だった。

英語講師などをして生計を立てイサムを育てるが、イサムが14歳の時にアメリカの学校に単身送り出す決断をする。
イサムは14歳から親元を離れ、一人アメリカの里親の元で育っていった。

映画中には出ていなかったけれど、アメリカでの生活費などヨネの資金援助もあったのではないかと思うのですが…。

その後、人との出会いや学びがイサムを作っていった。

レオニーの平凡を選択しない生き方が、ノグチイサムの血にも流れているのだと思いました。