tacky

8 1/2のtackyのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
3.0
「パプリカ」を観たので、夢と現実の世界の混沌を描いたこの作品を観た。
あの巨匠フェリーニの、しかも最高傑作と言われている作品であるのだが‥

次回作がなかなか撮れない映画監督が、そのストレスから、現実と夢と空想の世界を生き来しながら、最後は「共に生きよう」と開き直るまでを、まるでゴッチャ煮のような映像で作り上げた作品。

「映像の魔術師」と言われるだけあって、数々の場面が数分毎に目まぐるしく変わり、その構図の素晴らしさと、台詞回しの素晴らしいさとで、とても上手くまとめ上げてある。
が、楽しいか?
途中睡魔と戦うので精一杯だった。

フェリーニの作品は、自虐的で、まるで芸人のように私生活を切り売りするので、胸が痛くなってくる。
実際、次回作を撮るのに悩みまくったフェリーニが、じゃあ、それをそのまま作品にしようと考えたと言われている。

確かに、出てくる女性は全て魅力的だが、過去の女性を集めてハーレムを作るなんて幻想は、(男性なら見るだろうが)改めて映像にされると、とても引いてしまった。
そして、この監督はペシミストでも有名で、映像の至る所でそれが滲み出ている。正直シンドイ以外何者でも無かった。

フェリーニといい、ゴダールといい、ベルイマンといい、同業の後輩映画監督たちから絶賛される監督の作品は苦手である。
だって、つまらないもの。
ただし、ヒッチ先生と黒澤だけは別格です。
だって、楽しいもの。
tacky

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