黒猫航海日誌

8 1/2の黒猫航海日誌のレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
3.9
なるほど難解だ。その理由はフェリーニに関する十分な知識を持ち合わせていないこともあるだろう。
しかし、「映画は、何も知らずに観ても面白い。でも、知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い」という町山智浩氏の最初の一文に我が意を得て、この作品の自分なりの解釈を試みる。
①主人公は映画監督
②舞台は療養所
③タイトルの8 1/2は、共同監督作品であった処女作を半分とカウントし、単独作品の「8 1/2」本目の作品という意味


フェリーニはひどく疲れていて、次作の構想に行き詰まっており、タイトルすら浮かんでこない。
そこで自身を分身とした主人公に療養所でしばしの休養を取らせる物語を構想する。(①②より)
しかし、そんなところにも、とめどない出演の売り込み、的が外れた評論、聞かされてもどうしようもない愚痴が遠慮なく押し寄せる。
新作映画製作へのプレッシャーも相俟って、未だ解消できない幼少期のトラウマ、上手くいかない夫婦仲、 妄想と化した願望に悩まされる。

えーい、ありのままの現状を作品にしてしまえ。何本目の作品だったかな?タイトルはそのまんまでいいや。(③より)
ただし、美しい映画を創ってやろう。

そんな風にして出来上がったのがこの作品。個人的な作品なので、会話の意味も出てくるエピソードも、分からないのは仕方がない。ただ空想と現実が融け合う画面に酔っていれば良い。

こんな想像をしましたが、いかがでしょう、みなさん。
黒猫航海日誌

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