お豊の死の報せに衝撃的を受けたか、行き合う者は全て斬る!とでもいうように、修羅の道を歩む龍之介。
暴風雨の中ついに出会った龍之介と兵馬だが…。
円環構造をなすように最後の舞台は大菩薩岳峠に戻る。
しかし、最初と同じではない。龍之介の子がいる、そして、それを育てる(劇中の言葉を借りれば)仏のような与八がいる。
大佛次郎『大菩薩岳』原作読破のハードルは高い。ちくま文庫版では一巻400ページ以上の文庫本が20冊。しかも未完らしい。自分も未読だ。が、原作「大菩薩峠」は作者自身が"大乗小説"と呼ぶくらい、仏教思想が盛り込まれているという。
完結篇と謳う以上、未完の小説を何らかの形で締めるには悪からぬ決着だったと思う。