しろくま兄サキス

スパイダーマンのしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
4.0
【あのキスは、映画史に残る名シーンとなるであろう】

冒頭のモノローグ、「これは彼女に関する物語だ......」というくだり、どっかで聞いたセリフだなぁ??『GO』?ということはこれは青春をテーマにしたストーリィであって、物語のとっかかりではあるけれど、自分がスパイダーマンだろうが、在日コリアンだろうがこの際あまり関係ないワケね。じんわりしみじみ感動系の映画にオファーが多いトビー・マグワイヤもこの映画にはぴったりのキャスティングかも。

ウィレム・デフォー、よかったですねぇ。顔コワかったですねぇ。楽しんで演じてましたねぇ。自慢のマシーンとスーツはマヌケでカッコよかったねぇ。

ティム・バートンの『バットマン』以来、半端なヒーローものは作れなくなってしまった感のあるハリウッド、サム・ライミは見事その高いハードルをクリアして、なおかつ新しいヒーロー像を起ちあげてきたな、と。良くも悪くも『ダークマン』をはじめとするこの監督特有のアク「不遇を託つ者への共感」がスッキリし、エキスだけがうまく残っているような印象です。なぜスパイダーマンが永くマーヴェル・コミックで人気を保ってきたのか、巧みにCGを駆使しながら、その神髄を一読者の感性で映像化。新たな力を手に入れてはしゃぐさま、それを不純な動機で利用しようとする「へっぽこ」ぶり、徐々に義務と責任に目覚めていく主人公にリアルを感じる。

主人公を取り巻く脇役たちにもそれぞれにドラマがありそうで、役者陣の演技もあってこの手の映画にしては強い存在感。 「コミック原作ヒーローアクションもの」というジャンル分けが一般の(特に女性)観客をして敬遠させているようですが、「ジャンル的おもしろい映画」ということと同時に「普遍性のあるよい映画」と思う。レッテルでちと損をしているのかな。普通の観客にもオススメ。