改名した三島こねこ

晩春の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
3.9
<概説>

親子二人仲睦まじい生活を送っていた彼等の生活にも、いつかは別離の時がやってくる。娘の結婚によってそれが訪れた時、二人は果たしていかなる選択を行うのか。小津安二郎と原節子による初コンビ映画。

<概説>

結婚至上主義が時代遅れになりつつある昨今。

しかし結婚観は結婚観と別にして。本作の家族観は時代を隔ててもなお普遍的なところがあります。

そもそも本作は結婚観ではなくて、やはり小津安二郎作品に御約束の親子関係こそが主題なのですよね。

果たして親子とは仲睦まじいものであるべきか。
はたまた親は子の教導者としてあるべきなのか。

どちらも理想的ではあるのだけれど、これは同時には立ち行かない。それが我身を削るようであっても、親は後者を為すためにどこかで別離を選ばなければならない。

このすべては娘がかわいいからこそ。

私は未婚願望さえある小心者なのでこれを実行できる偉大を心底では理解できないのでしょうが、それでも「父って素晴らしくあるべきなんだなあ」と感嘆しました。

実際はともかくとして、仮に自分が父になれば。

最後にはこんな風に別離を惜しみつつも、別離を選びとれるような人間になりたいものです。