JT

リトル・ミス・サンシャインのJTのレビュー・感想・評価

4.3
"負け犬"とは挑戦しない者のことだ

2019年45本目: 原題
『LITTLE MISS SUNSHINE』

ずーーーと温めてきてやっと!
嫌なことなんて全て忘れて思わず笑みがこぼれてしまうとっても素敵な作品でした

離婚、破産寸前の両親
鬱で自殺未遂に及んだゲイの叔父さん
ヘロイン漬けの変態おじいちゃん
両親に嫌気がさした無口の長男
そして美少女コンテスト優勝を夢見るぽっちゃりした体型の妹オリーブ
そんなダメダメで傷だらけのひとつの家族がオリーブのコンテストのために1000キロ先の会場をミニバスで目指すロードムービー

コメディとヒューマンドラマの完璧な融合
笑いどころ満載で感動させられるところも多かった
なによりキャスティングが素晴らしい
みんな個性的なキャラクターを見事に演じてて
ひとりの人物を沢山の彩りで満たした
特にポール・ダノとスティーブ・カレルのコンビの距離感と存在感は最高だった
個人的にツボにハマったのは『ブレイキング・バッド』でお馴染みのブライアン・クランストンとディーン・ノリスが出演していたこと
ディーン・ノリスの変態警察っぷりにはもう笑笑

欠点で溢れて家族喧嘩は日常茶飯事
マナーも品もなく嫌味ばかりで
家族ひとりひとりがどこか欠けている
でもそこに惹きつけられて共感を呼ぶ
完璧なんてないし欠けていて当たり前
家族の欠点は個性として受け入れるべきもので
守らなければいけないもの
それを守るための最後のシーンはとてもスカッとしたし最高の家族になった瞬間だった
他人に嘲笑われても受け入れられなくても
家族がいれば、欠点(個性)なんて気にしなければ
自分で自分のことを受け入れられる
そうすれば前を向けるんだ
どんなに格好悪い家族でもオリーブのためにしたことは決して"負け犬"なんかじゃない

スティーブ・カレルがオカマっぽい走り方でコンテストの受付に駆けつけるシーンで涙が出た
鬱で自殺まで試みた男が姪っ子のために必死になれたことは私の心を強く揺さぶった
自分を受け入れられないなら誰かのために生きよう
そうすれば自分を生きることに繋がるのだから

この映画は多くの人へ大きな勇気を与えてくれる。
JT

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