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群衆のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

群衆(1941年製作の映画)
4.0
フランク・キャプラの方の「群衆」(1941年)。「素晴らしき哉、人生」の対になっているかのようなクリスマス映画です。戦中に、隣人愛を呼びおこし、世の中を明るくしたきっかけは、世を憂いた男(ジョン・ドゥー)の自殺予告の新聞の投稿記事でした。しかしそれは解雇された女性記者が捏造したもの。

実直だがホームレス寸前になっていた元野球選手の男(ゲイリー・クーパー)が架空の人物ジョン・ドゥーになりきり、さらには自分の言葉で世を憂い、社会の改革を訴えていきます。

扇動される人びと。
タイトルの「群衆」はこの人びとです。

フリッツ・ラングの「M」や「メトロポリス」で大衆が扇動されたり、集団心理で暴徒化する恐ろしさを描いていますが、本作も流される群衆を描いています。

基本的にいいお話ではあるんだけれど、時期的に、ナチスを反面教師として置き、群衆を利用する悪い奴の存在への警鐘と、偏見より隣人愛を説いているようにも受けとれました。

二転三転するストーリー、展開がうまく、ラストまで目が離せませんでした。

豊かな気持ちにさせてくれるフランク・キャプラ、ネガティブな作品の後のリフレッシュに良さそうです。
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