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「群衆」に投稿された感想・評価

かくわ

かくわの感想・評価

3.3
解雇になった新聞記者がやけくそになり書いた記事ででっちあげた「ジョン・ドウ」が思わぬ反響を呼び新聞社がそれを利用しようとする。

メディアとそれに踊らされ、そして掌返す“群衆“の恐ろしさと哀れさ、これが80年前に作られた作品で表現されているのがすごい。

2020-067
邦題がいいってのは珍しいと思う。
原題より、いいかも。
群衆の愚かさと希望。イージーに扇動されるなと。

自分の言葉ではなかったのに、自分の想いに取り込んでいったジョンの姿が印象的。
アンは愚かで、ジョンドゥは哀れだった。
映画男

映画男の感想・評価

1.5
最初に褒めるところ書きます。残りは文句垂れ流します。まず、冒頭の様々な大衆を表したモンタージュがめちゃくちゃ綺麗。ここだけで名作の匂いがした。ゲイリークーパーと名前分からんが浮浪者の男の演技がすこぶる良かった。この浮浪者が、観客の視点に立ち、物語の仲介役をしてくれるから映画自体に感情移入しやすくなる、(後半になりこの映画が急速につまらなくなるのは、浮浪者の出番が少なくなったからだと俺は思う)。



エゴイスティックで高慢ちきな新聞コラムニストの女が、金と生活の為に、「ジョン・ドゥ」なる架空の人物をでっちあげ、盛大なる捏造記事を工作するのが本作の始まり。

その辻褄を合わせる為に女は新聞社と手を組み、善良な貧乏青年を「ジョン・ドゥ」になりすませて操ることにする。青年は女に惚れてしまったため、また学問のなさから彼女の書いた薄っぺらい博愛思想の原稿を読むにつれて次第に染まっていく。最終的に権力者の思惑で全ての悪事をばらされ、青年はどん底に落ちるが、諸悪の根源であるコラムニストの女は挙句の果てに飛び降り自殺しようとする青年に「愛してる」だのとほざいて泣きつく始末。お前が作った筋書きやろが。やれやれ。虫唾が走る。

結局、国民はいつでもメディアに踊らされる猿にすぎず、権力者には逆らえないし、人はどうあがいても生まれた身分から逃れることはできない。愛も救いもない冷酷な現実主義映画だった。

「隣人を愛せ」「庶民は強い」「愛が正義」ってのが、この映画の、或いは製作者のメッセージだと思うが、やり方が気に食わんかった。つまりヒューマニズム溢れる映画の中に大衆の恐ろしさも組み込むという本作の仕掛けは機能しなかったと俺は思う。どうしても最後の「ジョンドゥの会」の台詞やコラムニストの女が泣きすがるところが薄っぺらく見えてしまう。

ヒューマニックでもロマンティックでもない、本当になにを見せられたのか分からなかった。例えば食卓にケーキと味噌汁を同時に出された気分である。俺はどう処理していいのか分からない。悪くない映画やと思うしフランスキャプラは偉大であり尊敬もしているが、この映画だけは単純に気に食わん。いまは率直な感情に従い、この映画は駄作であると明言する。
rika

rikaの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

いつの時代も群衆もマスメディアも政治も変わらないなと思ったけど、ラストの演説シーンとかアメリカはスケールが違うなと。どんどん惹きつけられた。
エア野球のシーンが好き。
『Begin the Beguine』や『Take Me Out to the Ball Game』が流れててあ、って思った。
マヒロ

マヒロの感想・評価

3.5
人員整理によりクビになりそうになった新聞社の記者であるアン(バーバラ・スタンウィック)は、一か八か「ジョン・ドウと名乗る男が政治に絶望し、抗議の意味を込めてクリスマスイブに市庁舎から飛び降りる」という投書をでっちあげて記事にする。
すると思いのほか反響を呼び、これをチャンスと捉えた新聞社はジョン・ドウという男を売り出そうと考え、彼を演じる人間として何も知らずにオーディションにやってきた純朴そうな元野球選手のウィロビー(ゲイリー・クーパー)を雇うが……というお話。

フランク・キャプラ監督の作品初観賞。
ガセネタをなんとか成立させようとてんやわんやする新聞社を面白おかしく描きつつ、『群衆』という邦題の通り、そんなマスコミに踊らされてしまう一般大衆の危うさを描写する鋭い目線も持ち合わせている映画。
身体の故障により野球選手としての生命を絶たれたウィラビーは放浪の人として目的もなく生きていたが、架空の人物であるジョン・ドウという人物を演じ続けることで正しくあるべき姿に気づいていき、どんどん自我に目覚めていく。一方でそれを見守る群衆は、新聞や政治家が言うことにいちいち流され、ジョン・ドウという男を批判したり肯定したりとコロコロ立場を変える「個」の無い人達として、ウィラビーとは対照的に描かれている。もう80年ほど前の映画だが、今作で描写されている大衆の様子は今日日的なものであり、先見の明がある…というよりは人というものはいつになっても変わらんもんだなと思った。

ある男がメディアにより祭り上げられ、本人の預かり知らぬところで様々な陰謀に巻き込まれていく……という展開を見て思い出したのがシドニー・ルメット監督の『ネットワーク』で、時代と共にメディアのフォーマットがテレビにはなっているけど、女性記者が主体となっていたり政治的陰謀まで絡んできたりという流れはよく似ていて、もしかすると今作を参考にしたのかも。
とは言え今作は性善説に基づいているようなお話で、先行きが見えずにいたウィラビーもメディアによる印象操作に踊らされていた群衆も気づこうと思えば本当に正しいことに気がつけるというメッセージ性を持っていて、一方『ネットワーク』の方は祭り上げられる人物はただの狂人、マスコミも政府も大衆も全員相手のことなど微塵も思っていない人ばかり……と徹底して突き放して作っており、そのスタンスの違いも時代を感じさせられて面白かったな。個人的には露骨に「良い話」に着地してしまったところに若干不満を覚えるが、概ね良い映画だったなとは思った。

(2020.39)
zhenli13

zhenli13の感想・評価

3.9
新聞記者の女性(バーバラ・スタンウィック)がでっちあげた架空の人物ジョン・ドゥーに仕立てられた無職の元野球選手(ゲイリー・クーパー)が次第に「庶民を鼓舞し、隣人との共助を説くジョン・ドゥー」としての自覚を持つようになるさまに、アッバス・キアロスタミ『クローズアップ』を思い出した。

現実(ドキュメンタリー)のように見える構造そのものが幾層もの虚構の入れ子となるさまに圧倒されるキアロスタミ作品に対し、このキャプラ作品は虚構が肥大し崩壊した先に救いがあるようにみえるけど、やはり怖い。何が怖いってまさに「群衆」が怖い。マスメディアも含めた群衆。この邦題は成功してる。

だから私はラストよりも、ゲイリー・クーパーがジョン・ドゥーとして全米各地を遊説し大歓迎を受けるシーンでいたたまれなくて涙が出た。

キャプラと赤狩りについての本を読みたい。
凄い。80年前の映画?嘘だろ?

本当にずっとそうなんだろうなと思う。

脚本がとにかく素晴らしい。細かな設定に唸る。

群衆は良い邦題だと思う。

その強さも弱さも的確に表している。

終わりも良かった。
ゆりな

ゆりなの感想・評価

3.8
フランクキャプラ監督本当に好きだと思った。原題のJOHN DOEというのは名無しの権兵衛のこと。突然作った偽りのキャラクターで、一般市民を表す。群衆って邦題も良くて、今色んな情報に躍らされてる私達のことだ。集団ヒステリーを起こし、すぐに掌返し。おそろしい。
捏造記事と腐敗した権力者達によって偽りのヒーローに祭り上げられた道化者は、群衆との対話や真実の愛を通して心に炎を宿す。

フランクキャプラが鳴らしたフェイクニュースやプロパガンダへの警笛はいつの時代にも当て嵌まり、引き継がれた信念はイーストウッドらによって現代映画にも投影されている。
反体制信念と同時に民衆の愚かさも描いた秀逸な作品。
ラスト4分ですねぇ。不満を訴えても無駄、希望を言わなきゃって、そうだよなああって。
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