1600本目のレビューに因んで160分のこの作品を選んだのは大正解でした。ほんわか余韻に包まれました。鑑賞中も、自然と口角が上がっていて、目尻は下がり、ぬるめのお風呂で長湯したみたいに心の芯までぽっかぽか。
世之介は誰の青春の一頁にもいそうです。天然で穏やかで、おおらかで、人懐っこくて、人の好い世之介。愛すべき10代の世之介君を何人も思い出しました。自分のことより他人を心配する善きお人柄。
郷愁に包まれるとともに、社会に揉まれて変わってしまったんじゃないかとか、夢の後の現実に一瞬戻されましたが、記憶に大きく残っている世之介君たちのエピソードを思い出すだけでまた楽しくなります。一緒に笑って過ごした悩みなき尊い時代。
こういう特別のことがおきないふつうの青春映画はよいですね。学生生活あるあるを丁寧に描いています。
思い出補正ってときには大切。
荒波にもまれてしまった大人向けで、自分の中にもいた＜世之介的＞を思い出しました。横道世之介は大人になっても世之介で、15年後の人生と学生時代を交互に描いています。誰の人生にもいた世之介。でも稀有な存在でした。胸が締め付けられます。
こういう作品をつくる沖田監督の温かさにも感動しました。
⚠️本作はネタバレ無しでご覧ください。感動が深まります。
