あんじょーら

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒のあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

3作目!非常に素晴らしかったです!進化が止まらないし、想像以上の出来栄えです!予想のずっと上の映像を、脚本を、見させられる快感がありました。

3作目で日本のお家芸とも言える心の葛藤が描かれるのが好きです、ええ、私は厨二病患者ですが、だからこそ面白がれる。

ガメラ、という怪獣の、人類や地球を守る守護神とは言いつつ、市街地で怪獣と戦う事で否が応にも死傷者が多数出る事へのアンチテーゼを含んだ葛藤を主題に置き、しかもこのシリーズはずっとそうであり続けたんですが、女性学者肌主人公と、怪獣と心通わせる無垢なる少女、というモチーフを踏襲しつつ、新たに、そこへ介入してくる男の子を入れたことで物語の厚みがぐっと増しました。

渋谷襲撃の場面の、これまでのガメラ1、2とは違った、完全に黒いガメラを前面に出しつつ(多分デザインもかなり怖く変わってる!)も、あからさまに子供を守るシーンを差し込んだりと、考えつくされていると感じました。こういうアンビバレントな葛藤モノは大好物です。そのことで自衛隊の攻撃対象にギャオスではなくガメラを設定してしまう辺りの伏線は非常に上手いと感じました。

そして生まれたイリスが、ギャオスと人間と突然変異というミュータントであり、ガメラを超える存在になってゆくの面白かったです。ここまで敷居を上げていくのは本当に凄いと思いました。具現化する前田さんの演技が光ります。誰に対しても心を閉ざす少女が怪獣にだけ心開く時、怪獣と人間の融合を描くのはすさまじかったですし、いい意味で恍惚としていて怖いくらいでした。イリスのぬめっとした幼生体の質感は良かったです。

ここまでハードルを上げると前田さんの翻心を描くのがとても困難になるはずなんですが、そこをとても華麗に扱っていて、納得しましたし、だからこそカタストロフィが大きいです。そして本編がわずか108分!!この短さにまとめるのは本当に凄い。

元刑事が立ち向かうのも、豪華キャスト(伊集院さん、解剖学者の養老先生に、鴻上さん、仲間さん、あと「ふぞろいの林檎たち」の小林薫の奥さん!その他もろもろ!)の出演も意気込みも感じさせます。

映像のクリアさや構図も考え抜かれていて(渋谷襲撃シーンは本当に凄い臨場感!とくに子供が見上げる下からのシーンは圧巻です)、最後が京都駅というのもびっくりしました。

勾玉という交信が途絶えた後にも信じる心を持ち続けるアサギさんの成長が著しく、完全に1作目の少女から女優さんになってて驚かされます。