あんじょーら

異人たちとの夏のあんじょーらのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
2.7
大林亘彦監督     松竹     U-NEXT



2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は5/33


昨年亡くなられた日本が誇る脚本家の1人である山田太一さん原作、大林亘彦監督の映画です。公開当時1988年は見逃していて、初めて観ました。そして、なんと、2024年4月19日に、あの、アンドリュー・ヘイ監督がリメイクして公開する、という情報を聞いたので。アンドリュー・ヘイ監督は「荒野にて」しか観ていないものの、絶大な信頼が置ける監督だと思ってます。なので、期待しか無いのですが、一応過去作を履修しようと思って。


病院で看病する人を撮ったビデオを早回ししながら確認しつつ電話に出る脚本家原田(風間杜夫)は間宮(永嶋敏行)へ、演出の不満を漏らしているのですが・・・というのが冒頭です。


これは、山田太一原作の映画化、という部分と、大林亘彦映画、という攻めぎ合いのようなものを感じます・・・凄く、不思議な作品。


でもちゃんと、山田太一さんの良さも、大林監督の良さも、ちゃんとある。


まずキャスティングが今観ると、これで良かった、と言い切れる気がします。でも、1988年だったら、多分違う感覚があったと思う。でも、今観ると、風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、そろぞれ、確かに持ち味を感じさせる。そう言う意味では、これは大林監督の映画。



でも選曲は明らかに、山田太一さん。これも分かる。


ラスト辺りのアレも、どう考えても大林監督作品でしかありえない感覚。その前にすんごくイイ食事シーン、お別れシーンやってるのに、それなのに、え!!!っていうくらい、めっちゃ変えてくる。流石。この頃はまだ大林亘彦監督、お元気だったんでしょうね。


演出もキャスティングも、凄く山田太一さんっぽくないと言えるけれど、テレビドラマの山田太一さんというよりは、小説家の山田太一さんぽいです。私が読んだのは「飛ぶ夢をしばらく見ない」くらいですけれど、シナリオは「ふぞろいの林檎たち」ⅢまでとⅤを読みましたし、「岸辺のアルバム」はシナリオ読みました。でも、シナリオというよりは原作、という関わり方なのかな?と思います。


秋吉さんも名取さんも、凄くキャラクターの芯を捉えた演技をされているので、凄く良かった。何と言っても、そんな人いますか?というキャラクターを演じている名取さんの凄みは感じますし、秋吉さんの、お母さんなのにコケティッシュという相反するキャラクターってちょっと難しすぎると思うんですけれど、それが良い意味で、リアル。ちょっと凄い。


しかも片岡鶴太郎をここに連れてくるの、かなり異質感あるんだけれど、でも、悪くないんですよね、びっくり。


凄く、凄く、今半別館ですき焼きを食べたくなります。



だれか一緒に行ってくれませんかね・・・・


すき焼きが食べたくなりたい方にオススメします。


さて、和風はこういう事になるし、大林亘彦監督だから、と言う意味で理解出来るけれど、アンドリュー・ヘイ監督が、あの繊細なタッチで、演出で、どう映画化しているのか?期待してしまう。