このレビューはネタバレを含みます
ときどき入るがきんちょ達の妄想カットインは、男の都合の良い妄想を見事に映像化していて、笑った。
本来なら最後の自殺はかなりショッキングな筈だが、物語の視点ががきんちょ達であることや、姉妹たちがミステリアスなので、ふんわり儚い雰囲気なのが凄い。
トリップが紛れもなく屑野郎なのは前提だが、ラックスがグラウンドで放置された場面は、彼女が美しい肉体以外何も持っていない(中身空虚)ことを彼女自身も思い悩んでいるという示唆だと思った。母親は敬虔なクリスチャンでかなり毒だけど、軟禁自体が自殺の要因ではなく、やはり彼女たちにしか分からない自殺の理由があるのだろう。姉妹たちが会話するシーンを敢えて描かないのが不気味。純粋に、他の姉妹が死んでいくのを見ながら自分も死ぬってどういう心境なんだと思う。
ニレの木やパーティに絶望したセシリアが4人の姉に大きな影響を与えたのかもしれない。13歳の少女だからこそ見える世界があり、その先の地獄を見たくなかったのだろうかと思う。
電話でレコード掛け合いながらDJするシーンは青春で、切ない。
リズボン家の手すりに掛かった服や、姉妹達の散らかった部屋から漂う、甘い匂いのリアリティ。
2階から飛び降りたサングラス少年や、オールバックギャングJr.など地味にキャラが濃いヤツがいて、もっと見たかった。