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フルメタル・ジャケットのnekosukiのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.8
過去の戦争で、勝ち戦だと聞かされていたのに、実は負け戦で、武器も尽き悲惨な状態だった日本。
お国の為と生身の体を武器として捧げた若き兵士達。
戦争は私達に何も与えず全てを奪い去った。

何物も恐れず身ひとつで向かって来る日本人を恐れるあまりアメリカは原爆を投下した。ベトナム戦争では必死に抵抗するベトコンに業を煮やして枯れ葉剤を撒いた。私は長崎の原爆資料館を訪れる度に残酷な現実に食欲を失くす。

アメリカでもベトナム戦争や湾岸戦争・イラク戦争に従軍した兵士が生きて帰れはしても四肢を失ったり五体満足だったとしてもPTSDを発症したり心身に異常を来した。

「フルメタル・ジャケット」は硬派な戦争映画だ。
前線に赴くための過酷な訓練風景を淡々と描いている。
主役を演じた“マシュー・モディーン"を食ったのは銃自殺を図った兵士を演じた“ヴィンセント・ドノフリオ"。この映画を語る時、そのシーンとラストの行軍シーンで歌われる“ミッキーマウスマーチ"は外せない。
戦争の悲惨さを描くためのシニカルな対比。
私は、そのふたつが脳裏に焼き付いていつまでも離れない!
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