SANKOU

フルメタル・ジャケットのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

未だかつてこれほど虚無感を感じる戦争映画には出会ったことがない。究極の反戦映画として観ると、すべてが無意味、すべてが虚しい戦いであることを痛感する。海兵に入隊する兵士たちがバリカンで髪を剃られ個性をなくしていく冒頭から45分に渡る訓練シーン。落ちこぼれのビンセント・ドノフリオ演じる太った兵士が、罵倒されながらもめげずに食らいつき、射撃のセンスを買われ教官についに認められるが、卒業を前日に控えた日の夜、教官を射殺し自らも銃口を咥えて自殺する。立派な兵士に育ったと思った人間が、実は心の中はボロボロですでに壊れていたという、これまでの訓練が全くの無意味であったという虚無感。その後の展開もあっけなく命を落としていく兵士たち、アメリカ兵を誘惑するベトナム人の娼婦たち、何のための誰のための戦いなのか分からないシーンが続く。廃墟から正体の分からない人物の目線で、アメリカ兵に狙いを定めるアングルはとても不気味だった。そしてあっけなくも衝撃的な結末。ラストのミッキーマウスのマーチに乗せて行進する兵士の姿はあまりにも有名だ。
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