とにかく、エドワード・ノートン。どこ切り取っても、エドワード・ノートン。とてもデビュー作とは思えない怪演。
彼が演じるのは、カトリック教会大司教の殺害容疑をかけられて逮捕される気弱な青年・アーロン。彼が現場にいたことは確かで、凶器を持っており、服も血まみれ。けれど、その時の記憶を失っている。その彼を弁護するのが、リチャード・ギア演じる敏腕弁護士のマーティン。
雨にぬれた子犬のようにおびえるエドワード・ノートンが、母性本能をくすぐるのだねー。
伏し目がちで自信なさげな様子に「守ってあげたい、助けてあげたい」、そう思わせるのに、あるきっかけで激しく動揺し、暴力的な人間に豹変!
不安げにおびえる表情、不敵な笑み、挑発的な態度……くるくると変わる彼の巧みな表情に、ゾワゾワすること間違いなし。
とってもよく練られたストーリーで、いくつも重なる演技の罠、どんでん返しの向こう側。
事件が起きて、その真実を探り、裁判をする、という王道ストーリーなのに、「えっ、どういうこと? あぁ、ソレ系ね~、ふむふむ、ちょっとありがちかしらねぇ……えっ、えーーーまさか?」とワクワクしながら引き込まれ、最後は「やられたーーー」ってひれ伏すことになる。