エクストリームマン

バニー・レークは行方不明のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)
4.0
娘がさっきまでそこにいたのにいないと言う母。件の娘を見たこともないという娘の預け先である幼稚園の人々。突如辞めて行方をくらます幼稚園の料理人。幼稚園の上に住み、録音した子供の声を聴く、魔女の様な老婆。勝手に家に上がり込んでくる大家。誰もが皆等しく怪しく奇妙に見える、観る者に登場人物の正気を疑わせていく映画。

娘の失踪は確かに大事だが昨今珍しくもないと、冷たい態度に見える警察。母の視点に立てば、あまりにも自明なこと=娘の実在を疑われ、輪をかけるように彼女の幼少の行動が暴かれてしまう。そして追い詰められ……でも、彼女は最後まで母だった。それが、観る者を最後に解放し日常に返してくれる。

「トリック」という意味では複雑なわけでも凝っているわけでもないが、日常を確かなものにしている精神の安定を崩すミステリ&サスペンスとしてとてもよく出来ている。