あかつか

エロス+虐殺のあかつかのレビュー・感想・評価

エロス+虐殺(1970年製作の映画)
4.5
勝手に岡田茉莉子祭り。大杉栄と伊藤野枝を題材にしたATG作品。日蔭茶屋事件と甘粕事件のお話。なるほど、エロスと虐殺。

大正時代と現代が交錯する構成。

大正のターンは大杉と野枝とその周辺。その描写に怒った神近市子が上映差し止めの訴訟を起こしたそうな。

現代のターン(つまり前衛的なターン(つまりちょっと眠いターン))は、野枝の生き様に興味津々の学生・栄子とその周辺。栄子を演じる伊井利子めっちゃキレイ。現代といってももう50年前なのね。2021年の今よりもむしろ大杉や野枝が生きていた時代のほうに近いという衝撃。

最近のベストセラー『村に火をつけ、白痴になれ』とか『風よあらしよ』に比べると、伊藤野枝の疾走感に焦点があたっているわけではないのがやや残念。

ロングバージョン216分。野枝が上京するとき新幹線?に乗ってたり、新宿西口のデッキでインタビューされたり、そういうシーンも含めて面白いんだがちょっと長い。でも、第1部が甘粕事件、第2部が日蔭茶屋事件と思えば、目くじら立てるほどでもない。結構盛りだくさんだし。

「3人の恋の争いに勝った野枝」

堀保子と神近市子と伊藤野枝。若くして(大杉とともに)殺されたこともあいまって、歴史的には野枝が「勝者」になっているけど。。

解放って何なんだろう。自由になれば嫉妬なんてなくなって、革命が達成されるのだろうか。恋愛も革命も矛盾に満ち満ちている。
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