大道幸之丞

ヴィデオドロームの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「カルト映画」の古典的作品。
B級作品の王者ジェームズ・ウッズが主人公。タイトルの通り「ビデオ症候群」とも言えるストーリー。

常に刺激的で視聴者の気を惹く作品を探し続けている『CIVIC-TV』の社長を務めるマックス(ジェームズ・ウッズ)は、衛星中継のネットワークで常に様々な映像受信をしている専属エンジニアハーレンから、作り物とは思えない拷問・ハードSM系作品「ヴィデオドローム」の存在を聞き、このシリーズにハマり発信者・製作者を探そうとする。

一方人気ラジオのパーソナリティで、マックスと恋仲のニッキー・ブランド(デボラ・ハリー)は「ヴィデオドローム」に感化され出演を
求めて自ら発信地であるピッツバーグへ向かう。しかしその頃からマックスは暴力的な幻覚に襲われるようになる——

40年前の作品で、インターネットも携帯電話もない時代だが、「放送」と「ヴィデオテープ」という媒体が与える影響力が横たわり、TVもまだ「ブラウン管」の時代が故に有機的な展開につながる様が自然に感じる

不意にマックスの腹部には裂け目が現れ、そこにヴィデオテープを挿入されるとコントロールされてしまう。手に持った銃も、銃から鉄鎖が伸び人体に食い込み一体化してしまうなど、ここからはじまるクローネンバーグ固有のテイストが炸裂している。

どこかで、メディア論では著名な「メディアはそれ自体もメディアである」と語ったクローネンバーグと同じカナダ出身の思想家マクルーハンの影響も感じられる。

もしかすると後の鈴木光司原作の「リング」へ影響を与えた可能性もあるが、わたしが知る限り最も似た作品は奇しくも同年である1984年のムシャ監督による「デコーダー」であろうと思う。

媒体・メディア中毒となり、やがて従わされる人間を描いたものとしては近いと思う。