櫻イミト

嘆きの天使の櫻イミトのレビュー・感想・評価

嘆きの天使(1930年製作の映画)
4.0
ドイツ映画で初めてのトーキー作品。港町ハンブルグ、真面目一徹な四十路の教師ラートが場末のキャバレーで出会った旅回りのダンサー・ローラに入れ込みすぎて転落していく話。その転落ぶりが容赦なく描かれていて素晴らしかった。ピエロメイクでの悲しみと怒りの表情はバットマンの宿敵ジョーカーをしのぐほど。映像もドイツ・サイレント時代の表現主義と退廃趣味の香りが残っていて大好物。学校の仕掛け時計のアップが効いていた。ディートリッヒは顔が苦手で避けていたのだが本作はまだメイクがキツくなく持ち味が自然に伝わってきた。

※無名な踊り子だったディートリッヒ(当時29歳)はスタンバーグ監督に抜擢され、この一作で一躍スターの座を掴んだ。本作の直後にアメリカへ渡り同監督の「モロッコ」でハリウッドデビューする。
※教師ラートを演じたエミール・ヤニングスは前年の第1回アカデミー賞で最優秀男優賞を受賞
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