トムとサマーの500日
2010年5月17日 20時49分レビュー
監督、PV出身のマーク・ウェブ。音楽マイケル・ダナ、ロブ・シモンセン。
レビューでの高評価、愛読雑誌のライターのお褒め、チラシを見たときの素晴らしい二人のたたずまい、ゾーイ・デシャネルの可愛さ、いかにも草食系丸出しの「ふつお君」ジョセフ・ゴードン=レヴィットの真面目な姿。ずーっと楽しみにしていた作品でした。
やはりアメリカ映画の方が青春映画を製作するのが上手ですね。邦画がんばれーと余計な心配。
そんな気持ちを抱きながらもやはり、久々のラブ青春映画としてとっても素晴らしい作品でした。
劇中では「ボーイミーツガール」の物語じゃないと断言していますが、イヤイヤど直球のボーイミーツガールの傑作でありました。
物語は単純、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの男性目線で進む社内恋愛のお話。サマー扮するゾーイ・デシャネルに恋するお話。トムとサマーの出会って恋して500日。
監督のマークウェブの映像センスが、あきのこないザクギリ日数回転で見せる二人の姿とともに次第に彼ら二人の関係が「浮き立つ」「ラブ」模様がセンス良く、浮き立ってきます。時に映像は、アニメになり、愉快な音があり、紙になり、画面配置が変わり、鉛筆書きになりとにかく様々な語り口を変化させ魅せていきます、こちら必見。
そして音楽の良さ。サントラほしくなるネオアコぽい音、ザスミス等々のチョイスの鋭さ。
勿論憎たらしいとか、悪女とかレビューにありましたが、僕は十分、ゾーイ・デシャネルの魅力が発揮されていたと思います。あのコピー機のシーン好き。○○○連呼も好き。なんか、ゾーイが「じ」で演じているように見えますよね、ちょっと引いた感じ、落ち着いていてなんか小悪魔的でしっかり文化系みたいな。
そして一番魅了されるジョセフ・ゴードン=レヴィットの細かい顔のシェイプアップ具合の芸の細かさ。嘆き、語り、男っぷり、草食ぶりが本作の鍵。
あくまでも男性目線なんですね。
僕はラストでニンマリ。「ふふふふー」とハッピーラフィングかまして、スクリーンに笑ってしまいました。
とても良かったですねラスト(にっこにっこ)
そのおかげは、彼のキャラであり、彼の「普通」っぽさがとても共感させてくれたんだと思います。彼の友達のあまりにもありふれた「普通」ぽさも良いんですね、スンゴイひきたててます。
あとマーク監督の素晴らしい映画好きな面。
ダブルミーニングが満載であり、愛情を感じました。
ダスティンホフマン「卒業」とさりげない「スターウォーズ」ハンソロの笑顔(ハリソンフォード)。
ベルイマンの真似、
チェスのシーン「第七の予言」、
トリュフォー、ウディアレンの「アニーホール」、
ジョンヒューズの「結婚の条件」等々
なかなかのリスペクト風な映像表現でした。音楽ネタもあります(この音楽ネタわからなかった)
あとゲームです。食堂でパンを食うところのテーブルゲームがなぜか「ドンキーコング」だし、あのおならのような足音がマリオ君の足音です。
ファミコンでやり倒したのですぐわかりました、赤いカセット、初代ドンキーコング。あとwii。
500日のサマー体験、自分は「卒業」を見た時のサマーの気持ち。バーでのサマーの気持ち。
その二つを共有できなかったのが原因なんかなーと思いました。
「あれ、なんか、違う、足りない」(バイサマー視点)みたいな。
二人のラブ、トムとサマーの500日にニコニコし、ニンマリして、突き落とされて、ちょっと成長して。普通なラブをここまでポップで楽しい映像センス、愛ある映像センスを下敷きに500日を二人の俳優の映画にしたて、二人の魅力を引き出し、バリバリの青春映画に魅せてくれた
マーク監督にアッパレです。
追伸
邦画(ドラマ含む)と比べるとアメリカ映画の青春映画のほうが断然好きですね。
(ざっくりあげますと、ジョンヒューズ、キャメロンクロウ、ケヴィンスミス、「スパン」「ルールズオブアトラクション」「ケンパ-ク」「エレファント」「バッドチューニング」「200本のたばこ」「恋は負けない」「ブリー」等々大好きです。)
新鮮で、マイナスと向き合っていて、新しくて、感覚がピチピチしています。やっぱりがんばれ、日本映画!