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柳生一族の陰謀のRyuのレビュー・感想・評価

柳生一族の陰謀(1978年製作の映画)
3.8
江戸幕府二代将軍 秀忠が没し、三代将軍の座をめぐり家光と忠長は対立する。しかしそこには柳生但馬守宗矩の陰謀が渦巻いており、朝廷、百姓、浪人までこの跡目争いに巻き込まれていく。

東映が時代劇復興を目指して製作しただけあり、スケールがハンパないです。ここまでいけばもはやスペクタクルの域に達してます。キャスト陣もまさに昭和のオールスターでとんでもなく豪華です。今やレジェンドって言ってもいいくらいの真田広之がこんなにも初々しいんですからね。
キャストが多い分、色んな思惑があって色んなことが起きます。これを2時間ちょいで描いている訳なのでけっこう駆け足な気がして、ダレることは全然なかったのでいいんですが、個人的にはもっと深掘りしてもよかったかなって思いました。これだけ豪華なんだから、それでも全然見れると思います。
歴史ものですが色々フィクションがまざっています。なので普通に脚本がおもしろかったです。それぞれに思惑や事情があり、それらが結びついていくストーリー展開はよく出来ているなぁと思いました。柳生但馬守宗矩と柳生十兵衛という対極な親子がまたイイ。家光と忠長、但馬守と十兵衛、この悲劇ともとれる家族間での駆け引きや争いにはなんだかカタルシスを感じました。但馬守がなんともしたたかな奴でホントに恐ろしかった。その但馬守のラストもまさに悲劇的な終わり方で、萬屋錦之介の演技も相まって、見事な締めくくりだと感じました。
数々の昭和の名優たちの演技合戦、そしてスケールのデカさ、時代劇に再び火をつけようとした東映の気合いがビシビシと伝わってくる作品でした。
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