このレビューはネタバレを含みます
"ひなぎく"(1966)
日本で初めての公開は1991年だが
カルト現象は今なお広がり続けてる
最初に公開された66年から
色褪せることなく輝き続ける映画
監督 ヴェラ・ヒティロヴァは
2014年に惜しまれつつ逝去
2017年5月には
シアターイメージフォーラムにて
劇場公開され
2018年10月-11月には
阿佐ヶ谷ユジクにて
その他
札幌、神戸、大阪や京都などなど
未だに特集が組まれ公開されている
阿佐ヶ谷ユジクにて特集が組まれたときのキャッチコピーで
"魅惑のカルトムービー"
と表現されてたけど
「的確に表現されてるなー」
と妙に唸ってしまう
ちなみにこの映画を知ったきっかけは
ここFilmarksでも劇場でもなく
ORLANDという顔見知りのバンドがYauという曲のMVで使用してたのがきっかけだった
曲は3台のシンセのグラデーションから生み出され非常にカッコいい
完全にワンシーンのBGMと
化しているのが印象的である
https://youtu.be/SNVuVjfUuy8
(当時映画のワンシーンとは知らずにバンドのオリジナルMVだと思い込んでいた)
実際にひなぎくのDVDを購入し
作品を観てみてみると…
そこにはハイセンスな数々の表現がある
マリエAとマリエA'の掛け合いに非常に躍動感があり劇中の音楽がマッチしている
そして奇想天外・破天荒な動きを
次々映し出す
マリエの衣装(ドレス)のデザインもさることながら
花冠&派手な化粧や髪型が
よりスタイリッシュに見える
マリエが付けているひなぎくの
白い花冠(デイジー)の花言葉は
『無邪気』
花言葉通りに
目一杯その場を楽しんでいる
一方でストーリー自体は
かなりシュールで奇抜
テンションが上がりまくり
テーブルグラスを壊す行為や
食べ物を投げまくるシーンがある
芸術内表現とはいえ
当時チェコスロバキアでは
1年間上映NGをくらうこととなる
1960年代のチェコスロバキアは
何かの思想や表現に対し
圧倒的な圧力があって
政治的な反逆思想は全てNG
よってこの映画も
男たちを騙すような表現
食事をおごらせる・粗末にする
自由気ままに過ごし男に期待を持たせる
そんなことが認められる
風潮や社会では勿論なかった
以前に"イカリエ-XB1"(1963)の
レビューを書いたけど
60年代は
チェコスロバキアは共産主義で
成り立っていた
表現についても統制された
枠組みの中でならOKだが
この作品は
"自由をさらけ出すこと"
を前面に出している
自ずと反国家的・反体制的な表現と必然的に見なされてしまう
マリエAとマリエA'は
その瞬間瞬間を生きてる
楽しさの裏に潜む代償を
考えることは必要ない
ひなぎくには
いくつか花言葉があって
"純潔"という意味も含まれてる
その花言葉と逆行する
"自由と抵抗"
の中で政治への反逆を示す
常にやりたい放題で
ある種のコメディ要素もある
彼女らの不思議なやりとりの中には大きなメッセージが含まれていて
チェコスロバキアの歴史を
学ぶ上でもタメになる
人生そのものがとても楽しそう
自分もパイ投げを
思いっきりやってみたい