谷啓主役のクレイジー番外編の1本。
クレイジーだよ奇想天外・空想天国と続く谷啓主演作は、今作もペーソスに溢れていて寓話的だ。
やはり本丸の植木等主演作が王道を守ってくれるから、谷啓で実験作的な映画が作れるんだなって思う。監督の坪島孝も作りたかった1作との事で、ストーリーもそれはそれはトンがってる。
団地住まいのサラリーマン鈴木太郎(谷啓)が出勤すると、会社に別の人が鈴木一郎として居座っている。コレが犬塚弘。全く別人（笑）でもみんな犬塚弘を本物と言う。奥さんや子供、実家の母親まで谷啓を知らない人だと言う。ある種ホラーな展開。
自殺を試みようとすると、隣にも自殺をしようとする女の人がいる。今作のヒロイン、なんと吉田日出子！若い！当時から不思議キャラ感満載だが演技は上手いなぁ。
二人とも死なずに生き延び、谷は鈴木次郎として精神病院に入れられる。キチガイを連呼するぞ。
病院内の患者でハナ肇が素晴らしい演技でキチガイを演じるのが見もの。
実は次郎は殺し屋の三郎だとわかる（笑）
そうして四郎・五郎と変わるが、そこにサラリーマンの悲哀やらの皮肉を上手く盛り込んでいるのが考えさせられる。
谷啓の人の良さと、シュールな展開がよくマッチしてる。坪島孝もお気に入りらしい。
