村上パルキ

ふたりのベロニカの村上パルキのレビュー・感想・評価

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)
3.7
この話から僕が感じ取ったことは、逆に自分自身というものの"唯一性"みたいなものだった…


ふたりのベロニカ…
名前も生年月日も顔も同じだけど、
別の二人が同時代に別の国に存在するという話。

全くうまい言葉で説明はできないのだけれども… もしかしたらすごく見当違いなことを言っているのかもしれないけれども…
この映画を見て、"自分としての唯一性"や"自分として生まれたことの意味"みたいなものを、考えさせられた。

自分自身に生まれたということ。それは言い換えれば自分以外の誰かにはなれないということ。それは尊いことであり、逆に言えば絶望である。

若くして亡くなったポーランドのベロニカが、決してフランスのベロニカになれないように…

例えば、 2020年の今生きている自分は、同じ時代を生きる他の誰かにはなれない。加えて未来の、例えば西暦 1万何年を生きる誰かには当然なれないわけで…

自分として自分に生まれたということ=他の誰かにはなれないということ。そして生まれた瞬間から死へのカウントダウンは始まっている。 それぞれの生きる時間も決まっているし、カウントダウンを止めることもできない…

それは絶望であり悲しいことでもある。

そう考えると、何となく本作ふたりのベロニカの裏テーマは"死"なんだろうなとも思う。

となんだかピントがずれてるのか…俯瞰的解釈なのか…よくわからないことを、この映画を見て思ってしまった。


映画として、正直面白くはない。
だけどすごく深くて、いくつもの解釈が存在するであろう映画。 映像も美しい。主人公のルックスを含めて綺麗。


もっとがっつり、ポーランドとフランスの各ベロニカが絡んてくるかと思ったが…そうでは無かった。 お互い相手の存在をはっきりと認識できない。

安易な設定にしないところがまた良い。
村上パルキ

村上パルキ