ちゃーりー

ふたりのベロニカのちゃーりーのレビュー・感想・評価

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)
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何も予定のない休日の朝、二度寝したり、三度寝したり。夕方、うたた寝しちゃったり。あの完璧な気分に似ていて、私の大好きな映画です。

ふたりのベロニカの片方だけが、片方の自分を見かける。忙しない世界の人知れずの巡り逢いは、圧巻の美しさで、何度も繰り返し観たお気に入りの場面です。
毎日本当に頑張って生きていると壊れやすいから、世界のどこかでもうひとりの自分が生きていたりするのかも。自分の知らない喪失を感じたとき、傷つくはずだった自分の代わりに、もう片方の自分が傷ついてくれていたりするのかもしれません。

電車の窓にスーパーボールをくっつけて覗く反転した世界だったり、バスの最後尾の大きな窓、バイクで追いかけてくれる恋人。指輪を下瞼に沿わせる。譜面入れの紐をいじらしく指に巻きつける。鏡の光に昼寝を遮られる幸せだったり。ラブレターの代わりに、生活音の流れるカセットテープ。天使のような寝顔。

なんでもない日常に、登場人物の愛らしい仕草が美しく溶けこんでいます。早歩きする日々の孤独、そのどんな瞬間も、ひとえに美しいこと。私たちにはそんな毎日があることに、ふと気づかせてくれる作品があるから、私は映画が好きです。

そしてベロニカのスタイルがすごく可愛くて!無造作なショートボブ、オーバーサイズのブラックのコート..♡

今年27作品目
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