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デスペラードの教授のレビュー・感想・評価

デスペラード(1995年製作の映画)
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前作「エル・マリアッチ」を観ると、結構しっかり「続編」していることが新鮮。
当時の「タランティーノ・ブーム」の中で色んなフォロワーが出てきた中で、ロバート・ロドリゲスは丁寧な職人作家という印象で、本作も手堅い。

一見荒っぽい映画に見えて、本作もストーリー運びや、ショットの的確さ、自身も手がけている編集センスで、チープなジャンル映画的なエッセンスを見事にケレン味で仕上げていく。
オーソドックスなエンターテイメントを撮るのが本当に上手い監督だと思う。

本作の成功している点は、アントニオ・バンデラスやサルマ・ハエックの魅力を余すことなく引き出しているところ。
とにかく「セクシー」であり、カリスマ性に満ちたマリアッチ。
それに負けず劣らずのカロリーナは、いわゆる北米圏のスターとは違う魅力をかなり早い時代に世界に知らしめたということに一層の迫力を与えている。

個人的にはもはや「界隈」によって礼賛され過ぎている点も多いが、それでも「仲間内」のキャスティングとしてスティーブ・ブシェミあるいはダニー・トレホ、クエンティン・タランティーノの怪演は良いスパイスになっている(個人的にはあまりノリにはついて行けていないが…)。
むしろ、こういった飛び道具的な「遊び」の部分にも「悪ノリ」あるいは「B級感」で悪ふざけしているようなニュアンスが強いが、その辺りもロバート・ロドリゲス監督の人徳や義理堅さといった「人柄」を感じる。

この「人柄」から浮かび上がる「友人たちの交流」による映画への影響こそが意外にこの監督の強みであり作家性に結びついている。
加えて、個人的に燃やされたカロリーナの本屋から脱出するシーン。
屋上へ逃げ、そこからの追い詰められたバトル、からの向こう側の建物への飛び移り、からの爆破の後のドヤ顔と、不自然な感情の流れの編集の密度に呆れて思わず笑ってしまうし、不思議と映像的なカタルシスが溢れていたりと、心から楽しんだ。
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