せびたん

火の馬のせびたんのレビュー・感想・評価

火の馬(1964年製作の映画)
5.0
2回見てしまいました。
びっくりしてもう1回見ちゃった感じなのでこれは2度見です。とりあえず2回とも「火の馬ってそこかいっ!」て突っ込んでおきました。あれはすごいですね。たぶん一生忘れないシーンです。ひとつの家系の運命をあんなふうに表現するなんて!(←合ってます?w)

珍しく鑑賞後のおさらいの検索をしましたら、火の馬というタイトルはヨーロッパでの公開時につけられたタイトル(邦題ならぬ欧題?)だということが分かりました。原題は「忘れられた祖先の影」とのこと。
どっちのタイトルも、この作品に合ってる気がします。そしてタイトルによって微妙に作品の印象が変わるので創作物のゆらぎっておもしろいなって思いました。ゆらぎを固定するのがタイトルっすね。私もいろんな映画に勝手に名前を付けてみようかな。笑

ストーリー的には、死神に憑かれたみたいにメンバーががんがん死んでいくある家族の最後のひとりの一生という感じでした。ソビエトという仕組みの中で忘れられていく民族の文化ということでもあるのでしょうか。知らんけどね。

それと同時に死後も続く純愛の物語でもあったんでしょうか。
主人公のイヴァンは死んでしまった女性のことを一生思い続ける点で嵐が丘のヒースクリフを思い出させてくれました。死んだ女性が幽霊になって男のところへやってくるのも嵐が丘と同じ。非キリスト教的な宗教的風土を描く点でも嵐が丘っぽかった。
つーかこれ、嵐が丘だよね。笑
別の時間線の嵐が丘。

事前情報としてあらすじ読んだ時は「恋愛ものかー」て思ってあんまそそられなかったんだけど嵐が丘ならOK。むしろ大歓迎!そういや嵐が丘の作者の一族も早死の家系だったよな。
嵐が丘がモチーフのひとつということで私の中では決定。

ストーリー以外のことで印象に残ってるのは、とある地域の人達の生活・風習を丹念に追いかけてることでした。
葬儀に繋がる場面から始まって、その後に葬儀が描かれ、人々の日々の仕事ぶりが描かれ、結婚式が描かれ、最後は再び葬儀となりました。それぞれの場面についてドキュメンタリーかと言いたくなるほど丹念に地域の生活を追いかけていきます。

民族の風習や宗教についての映画を社会主義国でやっちゃうわけです。そこがすでにすごいというか狂ってるというか。そのことと、やはり狂気じみた躁状態なカメラワークがいい感じの相乗効果を産み出てたとしか思えません。その狂気じみてるところがたまりませんでした。ついでに言うとイヴァンの愛も狂気!化けて出てくる女も狂気!

パラジャーノフ、モノノフみたいな名前してるのにやることすげー。まあモノノフもすごいと思うけど。やつら体力めっちゃありそうだもんね。ノフのつくやつってみんなすげーのか?なら映画に名前をつける前に、とりあえず自分をせびノフと名付けるとこから始めてみようか。
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