生活困窮に喘いでいる家族を養うため、女郎屋への従事を選択した次女が、女性の人権問題を目の当たりにしていく。廓町に放り込まれた少女のウーマンリブを描いている、ヒューマン・ドラマ。
明治中期の廓町を舞台に、廃娼運動をめぐる紆余曲折を語っている作品。新人教習、銭勘定、性病検査、足抜け、折檻など、廓内の種々相が丁寧に描写されており、当時の廓を再現している、巨大オープンセットに驚愕させられる。
前半部では、働けば働くほど借金が増幅していき、事業主から逃れられなくなるという負の連鎖を徹底的に描写。そして後半部に入ると、自由廃業を掲げる女郎たちが一斉蜂起するまでの過程をノンフィクション的にスケッチしていく。
外界を知らない女郎が、極秘のうちに知識を身に着けて、ついには事業主を出し抜いてしまう。事業主側の切実な言い分を掘り下げて欲しかったが、廃娼運動という史実をなぞったドラマとして、この上ないほどの訴求力が備わっている。