復讐者により殺害されたサディストの男(クリストファー・リー)が、美しい義妹にマゾヒズムを植え付けてしまう。サドマゾ心理の波及力を描いている、エロティック・スリラー。
持ち前のサディズムにより、家族を混乱状態に陥れている長男がヒョッコリ帰郷。弟の若妻に接近して、鞭打ちという名の求愛行動を取ってしまう。その直後、長男は殺害されるのだが、不可思議な連続殺人が発生して、どうのこうのという展開に入る。
やっていることは、「秘められていた"主従関係の歓び"を開花させる」系統のサドマゾ劇そのもの。ヒロインとなる義妹が、イヤイヤと言いながらも、鞭をもつ男の幻影に支配され、豊満な肉体をジュクジュクと火照らせていく。
19世紀ヨーロッパのゴシック様式もまた見応え満点であり、流麗なカメラワーク&カットワークを魅せてくれる(撮影監督はデヴィッド・ハミルトン)。「真の快楽は非道徳的行為の中にある」(by バタイユ)を着地点にしているところも素晴らしい。