マチュー

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃のマチューのレビュー・感想・評価

5.0
金星をただの1日で(3日だっけ?)滅ぼしたはずの、映画史上もっとも美しい完璧なデザインの怪獣キングギドラが、ここでは「やまとの守り神」であり「千年竜王」であるというトンデモ映画。
おまけに単なるつまらん地底怪獣にすぎないバラゴンも、インファント島のやさしい神であるモスラも、古代日本で葬られまつられた神々なのだ!
と、実に噴飯モノの設定なのだが、しかし、傑作である、ビビるほどの。
VSシリーズ亡きあとのマスターピースなのだ。

いいところは多々ある。
ゴジラが災厄として描かれているところ。
それから放射火焔が光線としてでなく、どこか液体っぽいものとして描写されてるところ――ゴジラが首を捻りながら放つとそれは水を噴射しているかのように曲線を描く。ビームをぶつけるのではなく、水をひっかけるような放射火焔なのだ。
ギャレス・エドワーズはこの映画を観たのではないか、ここから金子つながりで平成ガメラをみて、ほんで、あの映画はガメラにそっくりなのではないか――やはりあの放射火焔(もちろんGODZILLAはゴジラとは違い、直接には原爆、放射能の悲劇を背負ってはいないから、あれは青いビームである)も、水っぽかった。

この映画のゴジラは、災厄であり怨霊であり、同時に生物である。
天本英世は言う、やつも生物であることに変わりないと。
その台詞は伏線でもある。
ゴジラはラスト、竜王たちのエナジーを取り込まされることで、怨霊としては浄化されてしまった、そして原爆によって皮膚がただれて固まり、焔を吐く生物になりさがった。
ひたすら放射火焔を撃ちまくり、自滅するかなしさ。

ところで、このゴジラが放射火焔を初めて撃つ場面は、演出と編集の妙があいまって素晴らしい。
僕らが民族的、DNA的に嫌悪を催す、一瞬の閃光(を浴びる人々)とキノコ雲。
戦争映画だ。
マチュー

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