ゴン吉

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃のゴン吉のレビュー・感想・評価

4.0
日本を代表する怪獣ゴジラの脅威を描いた怪獣映画「ゴジラシリーズ」の第25弾で、ゴジラミレニアムシリーズの第3弾。  

金子修介が監督を務め、新山千春がヒロインを演じ、宇崎竜童、佐野史郎、南果歩、村田雄浩らが共演。 

オープニングは「平和憲法と防衛軍の役割」の特別講義で、国防軍隊の必要性についてのスピーチで始まる。講演中にグアム沖でアメリカの原子力潜水艦が沈没したとの連絡が入り、日本の防衛海軍が救助に向かう。そんな折、新潟県・妙高山でトンネル崩落事故が起きる。また、鹿児島県・池田湖畔では大学生のグループの遺体が発見される。果たしてこれらの事件はなぜ起こったのか..... 

後に平成ガメラ三部作でメガホンをとり、怪獣映画に新境地を開いた金子修介が監督を務めた作品で、護国聖獣伝説など平成ガメラに通じるものを感じさせる。
ハリウッドでは既にCGで描かれるようになった巨大モンスターを、本作では怪獣の着ぐるみとミニチュアを使った特撮で描いているが、1999年公開の「ゴジラ2000ミレニアム」と比べて特撮技術が進歩し、それなりに楽しめる映像となっている。
本作におけるゴジラは、太平洋戦争で亡くなった多くの人々の”残留思念の集合体”として描かれており、黒目がなく目が白いのが特徴。
ゲスト怪獣はバラゴン、モスラ、キングギドラ。これまでのゴジラシリーズでも活躍の場が少なかったバラゴンが登場するのが嬉しい。またランドマークタワーを舞台にした横浜決戦など平成モスラへのオマージュシーンが心憎い。
本作品は、ゴジラを戦争による犠牲者の残留思念の象徴として描く一方で、自衛隊ではなくあえて国防軍隊という組織を設定し、自衛隊と軍隊の違いを問いかけてくる。さらに暴走族や羽目を外した大学生が登場するが、危機意識のない若者に対して有事がいつ起きるかわからないという警鐘を鳴らしているのかもしれない。
日本における軍隊の要否については賛否が分かれるところではあるが、こっそり軍備増強を進めるのではなく、真剣に議論することが重要かもしれない。 

2023.5 BS12で鑑賞
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