みんと

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-のみんとのレビュー・感想・評価

4.3
まさにこの時期に観るからこそのこの感動!雄々しくも素晴らしい作品だった。

海に魅せられた2人の男の物語であり根本的な男と女の違いを見せつけられる作品でもあった。

モノクロで始まるギリシャでの幼少期のエピソードから惹き込まれる美しい風景。
決して多くないセリフが環境映像のようにもドキュメンタリーのようにも感じる中盤、海と共に育ち深い友情で繋がった両極にあるかのような2人の男の姿が熱くまた美しかった。

あまりにマッチした音楽に突き上げる重低音、イルカの戯れ、エンドレスに広がる海、神秘的な海の底、、、

それにしてもジャン=マルク・バールが素敵すぎた。ジョアンナとの出会いのシーンは一際印象的で目を奪われた。
悲哀に満ちた佇まいと掴もうとしてもすり抜けるまさに海そのもの。醸し出す雰囲気(個人的にはそのビジュアルまで)すっかり魅了されうっとり、、、
とりわけイルカと語らう穏やかな表情が好み。

「陸」が象徴とする現実と「海」が象徴とする理想との狭間でラストシーンは女性目線と男性目線で大きく異なるのだろうか、、、

男のロマンと一括りにするには安っぽ過ぎる。男の身勝手さと言うのも何だかピンと来ない。あの結末が妙に納得出来る自分に驚きすら感じた。

やはりジャックにとって海は特別。父が眠る漆黒の海の底でイルカ達に見守られ更にエンゾも望んだ場所はまさしく彼にとっての母なる海。全ての悲しみを呑み込んでくれる最も心地好い場所なのだ。

残酷とも取れる結末が何処か私にはハッピーエンドにすら感じられた。
みんと

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