安堵霊タラコフスキー

4番目の男の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4番目の男(1979年製作の映画)
4.4
ヴァーホーベン作品の中でも特に変態的かつ演出が洗練されていて、今まで見た彼の作品で一番のお気に入りとなった。

いきなり主人公が下半身丸出しで登場したり挙動にも同性愛入っててちょっとイかれたところがある点がヴァーホーベンらしく変態的でまず気に入った。

血が垂れていると思ったらトマトジュースだったり、夢の中で銃突きつけられたと思ったらデカい鍵だったりと、後のリンチやコーエン兄弟みたく恐ろしいようで間の抜けたシーンが多いのも面白く、特にホテルで男性用洗面台に歯ブラシだけ雑に置かれていたカットは笑えた。

後の氷の微笑に通じる官能的な演出も多かったが、紫とかピンクが鮮やかだったおかげかこっちの方がよりセクシーな印象があった。

話の内容としてファムファタールものの基本に則っていながら、独特の変態的センスと艶やかな演出で他に無い味が出ていて、こういう演出や描写が光る映画ってやっぱり良いなとつくづく思う。

ところでこの作品には野いちごや暗殺の森といった名作のオマージュと思しきシーンも散見されたのだけど、官能的なシーンに関しては愛のコリーダを想起させるものが結構あり、やはり大島渚の影響って強かったりするのだろうか……と思って調べたら案の定最も官能的な映画として同作が挙げられていて得心がいった。