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Vフォー・ヴェンデッタのmhのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
5.0
アメコミ・ダークヒーローものの変化球。
第三次世界大戦後、ナチスドイツを思わせる行きすぎた管理社会となっている平行世界のイギリスが舞台。強制収容所で行われた人体実験で生まれたモンスター=仮面の男「V」が、革命を達成するまでのストーリー。
1605年11月5日イギリス・ロンドンで起きた火薬陰謀事件を元ネタにして話を構成している。特徴的な仮面はその首謀者ガイピアーズ。
「セントメアリーズウィルス」のパンデミックでアメリカが崩壊。イギリスは独裁者のおかげで持ち直したという前提が、コロナウィルス以後の世界に住んでるわれわれには笑えないジョーク。
ナタリーポートマン演じるヒロインが愚かな行動をとるんだけど、覚醒後にはそういうのなくなるうまい脚本。女性が丸刈りにするのは、ウォシャウスキー姉妹の性癖かな?
レズビアンの描写など、ウォシャウスキー姉妹ならではのくだりもあって、とてもいい。
独房のなかで突然紙片見つけるのとか、年配の恋人の元に向かうと恋人はゲイだったりと、ご都合主義もいくつかあったんだけど、Vが過ちを犯すプロットで許せてしまった。このプロットはほんとうまくて、Vが反省し改心した結果がエンディングにも深く関わってくる。
クライマックスである仮面の男たちの行進が感動的だった。
悲しい歴史があるにも関わらず、いまだ根強く残っている人種差別などを乗り越える、エンタメならではのハッピーエンド。
傷ついてきたヨーロッパと人類に対するレクイエムのような熱いエンディング。
英語版Wikipediaによれば「アルジェの戦い」も参照しているとのことで、そのあたりがエンディングに反映されてそう。
「刑事をやると偶然を信じなくなる」というかっこいいセリフはメモっといた。
歴史やホロコーストの知識も必要になってくる、大人向けの娯楽大作。
めちゃ面白かった!
mh

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