ナツミオ

メンフィス・ベルのナツミオのレビュー・感想・評価

メンフィス・ベル(1990年製作の映画)
3.8
NHK-BSPプレミアムシネマ録画鑑賞
”満身創痍のベル"

”最後をとげるは雲の中
 我が戦うものを憎まず
  我が護るものを愛さず
 戦うは義務でも、
  群衆の歓呼に応えてでもない"
“喜びの衝動が
 激戦に追いやる
  すべてをを思い起こせば
   むだな未来、むだな過去
    この生と死に比べれば"
〜イェーツ作
朗読、無線士・ダニー二等軍曹

第二次大戦下、イギリスの基地を飛び立ちドイツへの危険な任務を無事帰還してきたアメリカの爆撃機”メンフィス・ベル号"。25回目、最後の任務も無傷で終えることが出来るのか⁈
実話をもとにした10人の若きクルーたちの青春群像劇&戦争映画。

DVDで何回も観ているスルメ作品。
今回、BSP放映で久し振りの鑑賞。
レビュー再投稿。
過去レビューにイイネ、頂いた皆様ありがとうございます‼️

原題 『Memphis Belle』

1990年英作品
監督 マイケル・ケイトン・ジョーンズ
製作 デイヴィッド・パトナム キャサリン・ワイラー
脚本 モンテ・メリック
音楽 ジョージ・フェントン
撮影 デヴィッド・ワトキン
出演 マシュー・モディン エリック・ストルツ テイト・ドノヴァン ビリー・ゼイン デヴィッド・ストラザーン ジョン・リスゴー

日本語字幕 佐藤一公
(所有DVDは、菊池浩司)

(NHK番組内容より)
第二次大戦下、イギリスの基地から何度もドイツに出撃、無事に帰還してきた米国陸軍航空隊の爆撃機メンフィス・ベル号。
25回目、最後の任務を全員無傷で終えようと奮闘する10人の若き兵士たちを描く戦争ドラマ。

『ローマの休日』の名匠ウィリアム・ワイラー監督が戦争中に製作したドキュメンタリー映画をもとに、娘のキャサリンと『ミッション』などのデビッド・パットナムが製作を手がけ、当時の若手スターの共演も話題となった。

原作はワイラー監督の1944年のドキュメンタリー作品、
『メンフィス・ベル:空飛ぶ要塞の物語』
を元に脚色されている。

題名の”メンフィス・ベル"は、飛行機の愛称であり、機体のノーズアートとして機首の側面に描かれるピンナップ・ガール。
実際、機長のガールフレンドの名前から取られている。機首左右で彼女の衣装の色が変えられている。(左側が青、右側が赤)
出撃前夜、モディーンが機体の横で物思いに耽るシーンでは左側が赤色になってた⁈

史実では…
ロバート・モーガン大尉(作品では、デニス演じるモディーン)は第91爆撃航空群はワシントン州で訓練を実施している際、親戚に会いに来たメンフィス在住のマーガレット・ポーク(Margaret Polk)という女性と知り合い交際し始めた。
当初大尉はB-17F-10-BOに、ポークが大尉のペットにつけた「リトル・ワン」という名称をつけようと考えたが、ヴェリーニス大尉と2人で「Lady for a Night」という映画を鑑賞したとき、作中に「メンフィス・ベル」という名のボートが登場したことから、メンフィス在住のマーガレット・ポークになぞらえて、メンフィス・ベルと名付けられた。(Wikipediaより)

実話と戦中に撮られたドキュメンタリーを元にしているので、戦争映画としては、淡々としており、反戦や戦意高揚を狙った作品でもない。
主要な登場人物は、爆撃機B-17F、“メンフィス・ベル号"に搭乗する若きクルーたちの青春群像劇として観た。

最年少の兵士は18、19歳のまだ世間を知らない学生や少年兵たちだが、24回のミッションをクリアした立派な兵士たち。
対照的に劇中では、新人クルーたちの機体、”母と母国号"が敵戦闘機に胴体を寸断され墜落していく姿は、非情な戦争の姿を垣間見せる。

トマト・スープの場面は、ビックリ‼️


「アメイジング・グレース」や民謡「ダニー・ボーイ」をはじめ音楽も魅力的で余韻を残す。

基地司令官、クレイグ・ハリマン大佐(ストラザーン)がデリンジャー大佐に見せる手紙のシーン。遺族からのお礼の手紙の束にジーンとなる。
脇役ながらストラザーンとリスゴーの演技も物語を引き立てる。

機内で重傷を負った無線士・ダニー二等軍曹(エリック・ストルツ)を助けるために、パラシュートで落とすか否かと揉めるシーンが印象深い。
そして、急に意識を取り戻したダニーが叫ぶ、“僕の詩ではない。イェーツなんだ‼️"

戦時下の若き兵士たちの青春群像劇の名作‼️



【忘備録】ややネタバレ有り
登場人物
・デニス
演 - マシュー・モディーン
操縦士。搭乗員のリーダー。飛行機の名前はガールフレンドの名にちなんだもの。真面目な性格。
実家は家具メーカー。戦後、皆んなに働き口を持ちかけるが皆の反応は薄い。
実際の機長は、ロバート・モーガン大尉

・ルーク
演 - テイト・ドノヴァン
副操縦士。陽気な性格。プールの監視員の仕事をしたことがある。
帰国するまでに、一度でも敵機を撃ち落としたいと、尾部銃手のクレイ(コニック・ジュニア)に交代を持ちかけるが……。

・フィル
演 - D・B・スウィーニー
航法士。情緒不安定。生意気で協調性があまりない。

・ヴァル
演 - ビリー・ゼイン
爆撃手。元医大生(2週間だけ⁈)
イケメン。口髭がクラーク・ゲーブルを意識してそう⁈
爆撃シーンでは冷静沈着に判断する。

・ダニー
演 - エリック・ストルツ
無線士。アイルランド系。成績優秀、卒業生総代だった。

・ラスカル
演 - ショーン・アスティン
旋回銃座。ラスカルはあだ名であり名前はリチャード。19歳。身長162cm。体重54kg。女性にモテる(ただし自称)。

・クレイ
演 - ハリー・コニック・ジュニア
後尾銃座。農家の息子。父親が博打で破産した。

・バージ
演 - リード・ダイアモンド
機関士兼上部銃座。あだ名はバーグ。6人兄弟の末っ子。入隊前はファミリーレストランの従業員。

・ユージーン
演 - コートニー・ゲインズ
側面銃座。宗教的な若者。グリープランド出身。19歳。神経質でいつも病気や怪我をしている。なぜ、メンバーに入れたのか謎に思われている。

・ジャック
演 - ニール・ジントリ
側面銃座。シカゴ出身。乱暴者。少年時代は少年院を渡り歩いた。

・クレイグ・ハリマン
演 - デヴィッド・ストラザーン
大佐。中間管理職のような立場の悪さに辟易している。

・ブルース・デリンジャー
演 - ジョン・リスゴー
大佐。悪い人間ではないが少々、皮肉屋。


【飛行機について】
B-17F 41-24485号機 メンフィス・ベル

本映画でメンフィス・ベルとして使用されたB-17は、イギリスのダックスフォード帝国戦争博物館に展示されているB-17G「サリーB」であった。

そのため、本来のB-17F型には装備されない機首下部の機銃座(チン・ターレット)を取り外して撮影している。撮影にはほかに2機のB-17Gが使用された。
(Wikipediaより)



・過去レビュー
DVD鑑賞
同様のシチュエーションで古い作品ですが「頭上の敵機」があり、こちらは、指揮官を主に描かれているが、本作品では、主人公たちは、爆撃機B17に乗り組む搭乗員。
視点は違うが、同様に大きな損害を被った中で戦果をあげた物語。

当時、爆撃機クルーは25回のミッション完了で帰国することが出来た。
メンフィス・ベルは、この25回目の困難な作戦参加を描く、戦争映画でもあり若いクルー達の青春映画でもある。

スルメ作品
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