たくろー

ビューティフル・マインドのたくろーのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.5
レンタルDVD・字幕で視聴しました。
実在した天才数学者・ジョン・ナッシュ。彼は突出した能力を持ちながらも人付き合いが苦手だった。プリンストン大学の院生ながら、授業にも出ず、他の学生のように実用的な研究・論文執筆もせず、自分の追い求める究極の理論を作り上げるために、ひとり研究に没頭していく。ルームメイトのチャールズにも助けられ、とうとうゲーム理論という画期的な理論を完成させる。その実績を携え全米トップのMITウィーラー研究所で働き始めた彼は、そこで出会ったアリシアと恋に落ちる。仕事も私生活も順風満帆だったジョンだったが、新たに携わることになった軍事研究を進める中で、課せられた機密任務に対する重圧と、身の回りに忍び寄る不穏な影に、次第に追い詰められてゆく。というストーリーです。

ラッセル・クロウ演じるジョンを、浮世離れした天才で、傍から見れば奇人扱いされるような男として描きつつも、憎めないところのある純粋さを持ち合わせた人物として描いています。
そこで感情移入できているために、その後の急転直下の展開に際して、ジョンが受けるのと同じように彼に降りかかった驚愕を、観客としても追体験するように感じることができました。

事実からは多少脚色されているようですが、彼を支えるジェニファー・コネリー演じる妻アリシアの献身と、その裏にある葛藤を見せられる一方、観客はジョンの苦しみも知ってしまっているために、一層胸を締め付けられる思いがします。

妻の夫に対する献身的な愛の他にも、上手く社会性を発揮できなかったり周囲から奇異な目で見られるような人物が、それに立ち向かっていく姿を見たときに起こる感動、また、哲学的な問いについて考えさせられたりなど、とても豊かな広がりを持った映画です。
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