ピュンピュン丸

怒りの葡萄のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

怒りの葡萄(1940年製作の映画)
4.0
スタイン・ベックの同名小説の映画化。当時の貧しい小作農の人々の困窮した生活ぶりが描かれて、資本主義の影の部分が浮き彫りにされている。社会主義映画と思われてもしかたない作品だなぁ。

西部劇の巨匠ジョン・フォード監督。主演は名優「ヘンリー・フォンダ」。

土地を追われた小作農の一家が地主のすさまじい搾取を受け、難民キャンプを転々とする姿は、明るい未来を描くことができない現代の我々庶民には他人事ではない恐怖を感じさせるものだ。

仮釈放となったトミー(ヘンリー・フォンダ)が家族に再会し、再び家族のもとを去らざるを得なくなるまでは満点近い内容。特に母親との最後の会話は深く感動した。

友人ケリーからトミーへと伝わったもの。無名のこういう人々の、社会をより良くしようという想いが積み重なって、この映像にあるよりは幾分かマシな今の社会があることを実感すると、感謝と渡されたバトンの重さと、暗澹たる絶望感のないまぜになったような複雑な想いにとらわれてしかたない。