愛子

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にの愛子のレビュー・感想・評価

4.5
鑑賞後ずっとエヴァのことを考えていたので3時間くらいかけてこのレビューを書いてしまった、アニメと纏めての感想

ものすごく閉じた物語だなということを鑑賞中ずっと感じていて、内へ内へと閉じていくエネルギーの強さというか 自身の中に構築されている世界を描き出す気迫みたいなものに圧倒され 何度も呼吸が浅くなり指先がつめたくなってしまった
新劇イッキ見した時も体調を崩してしまったし、やっぱり作り手の我やこだわりの強さ それに伴うエネルギーを感じられる作品から受け取ることが出来るものはとても多くて、そしてそんなふうに何かを受け取ることと引き換えに 自身の心の一部分が明確に持っていかれるな感覚になるなとも改めて

人という生き物の そして自分自身の醜さどうしようもなさを見つめた時、"それでも"と現実から目を背けず対峙し続けることにはとても強さが必要で、外へと開いていくこと 諦観に呑み込まれないよう生きることはとても難しく、だからこそ私たちは内へと閉じてしまう
けれど、だからこそ、限りなく不可能に近いと知りながら "それでも"と信じ続けるまなざしに 他者と関わり外へと開いていこうと努める姿勢に わたしは人の美しさみたいなものを感じてしまうのだろうな、
旧劇は 閉じられた空間にさす一筋の光...みたいな幕引きだと個人的には感じていて、だからこそ開かれた世界が持つ光の美しさをまっすぐまなざすようなシンエヴァの結末を思い出す度に情緒がめちゃくちゃになってしまう

閉じた世界に宿る狂気や危うさは人を惹きつける力を持っていて、けれどその先で待ち受けているのは破滅なのだろうなということを何度でも考えてしまうし、だからこそ開かれた物語の光が何度でも眩しくうつる

ただ、作り手の意図がどうであっても 何を伝えよう届けようとしているのであっても、結局自分が信じたいこう思いたいと深層的に望んでいることを物語からも受け取ろうとしてしまうし そんなふうにあらゆることを恣意的に解釈してしまうなということを改めて考えてしまった
私は私というフィルターを通してしかすべてを見つめられず 自身の思考回路を通してしか物事を捉えることができないのだという事実と目が会う度に、いつもどこか後ろめたいような心持ちになってしまう

上記のような感想が生まれるのも、きっと最近の私が外へと開いていく強さを身につけなければいけないな といったことを常々考えているからなのだろうなと考えたり

物語に逃げ場を求め内側へと閉じ、諦観に身を委ねることの楽さ苦しさどこにも行けなさをどうしようもなく知っているからこそ、閉じた物語に強く惹かれてしまうのだろうし、そして外へと開く勇気を握りしめた先でしか出会えない光を知ってしまっているからこそ、何度だって”それでも”と伝え続けてくれる物語の眩しさに涙が出てしまうのだろうな、
閉じた物語の持つ中毒性というか、その世界に身を浸すことの何にも変え難い気持ちよさみたいなものに恐怖を感じた時間だった
愛子

愛子