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ニーチェの馬のleylaのレビュー・感想・評価

ニーチェの馬(2011年製作の映画)
4.0
重い、暗い、長い、何も起こらない。ただ同じような毎日の繰り返し。
退屈かといえばそうではない。最後までじっくり見入ってしまう没入感がある。

こんなに長い長回し見たことない。長回しだと小細工が利かないから、じっくり隅々まで見入ってしまう。とにかくいろんなこと考えながら見入ってしまう。

冒頭の馬が土埃の中を行くシーン、どうやって撮っているんだろう。(映像、格好いい)
演者はどこまでが演技なんだろう。
台本はないのだろうかとか。
食器の音さえセリフみたいだなとか。
じゃがいも1個で人間は生きられるのかとか。
生きるってなんなんだとか。

ニーチェの逸話が題材だそうだが、この映画自体がまさに哲学。
宗教的でもあるけど、6日で終わるのはアンチ宗教のような。
2000年代にこんな映画をつくるなんて、アンチ映画界のような。

ラストなんてあまりに暗くて、コメディなのかと思ってしまうほど。終焉に向かっているんだなと思うけれど、でもこの先もずっとこの毎日が続くのかもとも思わせる。

人間が生きるということは、繰り返すこと。まさにニーチェなんだ。
かつてない不思議な感覚に陥った傑作。
これもまた映画。
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