明石です

タロットカード殺人事件の明石ですのレビュー・感想・評価

タロットカード殺人事件(2006年製作の映画)
4.2
美人学生記者がひょんなことから連続殺人事件の犯人がとあるイケメンセレブ青年だと知ってしまう。その男を尾行しているうちに仲良くなり、殺人犯と恋仲になっていくというお話。監督はウディアレン。主演はスカーレット・ヨハンソンとヒュー・ジャックマン。

イギリスの特権階級に生まれ、趣味はポロ、競争馬を持ってて、将来は政界進出を狙っている。絵に描いたような貴族青年が殺人事件の犯人というだけでも面白い。そこにウディアレンのユーモアが乗っかるからさらに面白い。これは良作ですね。

切り裂きジャック事件に擬えたストーリーにコメディを足したような作風。「おいしい生活」なんかでもそうでしたが、ウディアレンの、セレブの私生活を斜に見ててちょっと小馬鹿にしてる感じがとても好き。「週末はキツネ狩りに行くの?」とか、コミカルなセリフにクスクス笑っちゃう。口にしてる本人はジョークのつもりで言ってるけど相対するセレブは苦笑いしてる感じがさらに面白い。

タロットカード殺人事件、、アガサ・クリスティの二番煎じみたいな邦題にどうも見るのを敬遠してました。が、冒頭の死神の船に乗り合わせた男女が自分たちの死因について話すシーンで、ウディアレンの映画だ!と妙に安心しました笑。「Does this mean anything to you?」って死神にワイロ渡しながら言うところとか軽快で好き。

んー、これは単なるぼやきですが、どうにもスカーレットヨハンソンが好きになれない。顔というかオーラというか、アメリカ人がこの手の絵に描いたようなブランド美女を好むのはわかるけど(実際作中でもセクシーでチャーミングな女性として描かれてますね。容姿とエロに才能を振り切った女性)。けれどもわたしにはどうも、、スカーレットヨハンソンが苦手。。多分お淑やかな女性が好みなだけかもしれないけど、この手の女性がだめだ。目とか眉の鼻の形とか、、それか性に開放的(で芯のない軽薄な女性)な感じの雰囲気が苦手なのかな。あるいは先祖がこの手の女性に殺されただけなのかも。ファンの方すみません。

もちろんスカーレットヨハンソンとウディアレンの絡みは大好き。辛口で舌鋒鋭いスカーレットと意外と義理深い老人役のウディアレン。よほど相性がいいのか、ダイアンキートンと共演していた往年の名作映画(「マンハッタン」とか「アニーホール」とか、あと特に「マンハッタン殺人ミステリー」)を思わせる名コンビぶりでした。なぜ男の人が彼女に惚れるのかが判然としないだけ。

邦題ですが「ウディアレンのスクープ」とかみたいに初期のウディ映画みたいにシンプルなタイトルにした方が受けが良さそう。2000年代以降のウディ映画は邦題をポップで大衆向けにしすぎてチープさが否めない、、「教授のおかしな妄想殺人」とかはその極めつけ。どうにかならぬのか、、

ラストがちょっと急づくろいな感じがしたので-0.2しました。それでもなお私の中では相当な高得点ですが笑。

——好きなセリフ——
「生活に刺激と喜びを感じたくはないの?」「食後に胸焼けしないのがぼくの喜びだ」
「イギリスの田舎は美しいね。トロロープを思い出すよ」「あなたもトロロープの愛読者?」「作家じゃなくて昔の女だ」
「ワシントンポストの者です。『大統領の陰謀』は見ました?小柄な方が私です」
明石です

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