イーストウッドは史実映画のイメージ。
しかし彼の本領発揮はこういった暴力入り混じる人間ドラマのシーンではないだろうか。『アメリカン・スナイパー』も一番記憶に焼きついたのは戦場での凄まじい現実であった。
目を背けたくなるような過酷な現実の前に、一本筋の通った漢の姿。同イーストウッド主演作品『運び屋』が高評価されているのにはそういったフィクション作品における彼の軸があるからだろう。
とまあ堅苦しい論評は今回は置いておいて、やはりイーストウッドが頑固偏屈クソジジイを演じさせると最高にカッコいい。こう言うと侮辱のようだが、彼の顔に刻まれた皺の数がまさにそれという味を出しているのだから。
そんな彼がどこかチェリーボーイくさいアジアンボーイとの交流で成長物語を語っていくのだから、そういう男の浪漫が好きな面々にはもうたまらない。すぐ暴力に走ったりするようでいて、戦時の悔恨が根底にあるという心情を疎かにしないのがまたツボ。
'68年グラン・トリノは現地価格$33,500
死ぬまでには海岸沿いを乗り回したい。