黒羊

日本暗殺秘録の黒羊のレビュー・感想・評価

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)
4.7
日本暗殺秘録

繁忙期でずっと休みがないでごわす…
こんな時は睡眠時間削ってもゴリゴリな映画観たい!に応えてくれた名作がコレ。TSUTAYAお取り寄せで借りれて良かった…ありがとうT兄弟!

桜田門外の変から始まって、数々の「暗殺」の歴史を5.15、2.26事件まで映し出すオムニバス形式。
近代日本の歴史、メンタリティをこれでもかと訴える。

まず豪華キャスト。千葉真一、鶴田浩二、菅原文太、高倉健、若山富三郎…いやぁ書ききれないほど当時の東映オールスターなんですね。

テロル、暗殺、殺人。
手段でもセリフでも劇中で何度も訴えてきます。

「これしか道はない。他に道があるなら故郷へ帰れ」
「この腐った世の中を変える俺たちは正義だ」

社会の悪にやられ、苦渋を舐めされられ続けた弱者達を描き続ける。

「俺には俺の銭を待っている嫁と子供がいるんだ」

今は平和な日本ですが、この映画が描く世界とあまり変わらないと思った。

弱者を叩き利権に肥える者(広くも狭くも)がいて、弱者が決起してもそれは犯罪。現代では決起する者もなく、暗殺される心配がない強者は更に肥えてますね〜

長年生きてると気付いてしまいますよね。暗殺でも選挙でも革命でもこの日本は変わらないって事に。

映画はエンターテイメントですけど、それでも、最後に映るメッセージはエンターテイメントに乗せて、シンプルに、日本に、鑑賞者に訴えているんだと。

そう言えばあの三島由紀夫も命を賭して訴えてましたねぇ。この映画観てたら思い出した。

彼らは死ぬ事も厭わない覚悟なんですね。
そこまで出来る人間が今、どこにいるのかと…

この映画、1969年の映画を観て、いつかこの国で暗殺でも、暗殺じゃなくても構造を変える行動・革命は起こるんやろなぁと思った。
行動を起こすのはその時代の若者、実力者で、その頃の我々は老人。傍観者。

行動が姑息でも卑怯でも、その後の日本に貧しき世代は生まれない、弱者が虐げられない世の中になるといいなぁ。

そんな夢が見れた映画でした。
黒羊

黒羊