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エクソシスト/ディレクターズ・カット版のblacknessfallのレビュー・感想・評価

4.5
ディレクター・カット版をまた観てしまった。
劇場公開版も入れて何回観たんだろうか?

ホラー映画好きじゃない映画ファンの人達にとっても古典だよね、今や。
気づいたら50年ぐらい経つわけでホラーも手法が洗練されたり技術も進歩したから、古く感じるのはしたかないけど、"悪魔祓い"モノでこれほど禍々しく恐ろしい映画は出てきてない気がした。

古びてもいけるって意味でロックのクラシックなバンドの名盤と同じなんだよな。
例えばブラックサバスの1stもリリースされてから50年ぐらい経つ。
今やサバスより重い音を出すバンドは山のようにいるけど、今聴いてサバスが詰まらなく聴こえるかと言うとそんなことはない。むしろ、50年も前にこんな破格のヘヴィサウンドを出してたことに驚き、尊敬の念すら湧いてくる笑

つまりブラックサバスもエクソシストもオリジネイターなんだよ。
今までになかった途轍もない表現をした者だけが纏えるオーラがあるんだと思う。
だから時代に関係なく多くの人に刺さるわけ。

自分の中でブラックサバスとエクソシストって似てる存在だなって思ってて、それはまず何より誰も想像つかないスタイルを作ったこと。
それとどちらも現在に至るまで無数のフォロワーが出現し続けてること。

綿密に計算されたストーリー展開に画作りやリンダ・ブレアの冒涜的なセリフや演技、フリードキン監督の常軌を逸した演出法なんかは語り尽くされてるから、好きなポイントなんで楽しげに言いたい気もするけど、いくらでも他にうまく言ってる人がいると思うので止めといて、今回観て気になったことを2つほど。

例のスパイダーウォーク、インパクトがキョーレツだけどシーン自体はとても短くて数秒だった。もっと長いと思ってたんで、んっ?ってなった。
記憶の中に画の怖さが焼き付けられて、それが増幅されて長いと思い込んでたんだと思う。
これに限らず、180回転するリンダ・ブレアの首や十字架を股間に突きたてるショック・シーンはどれも時間が短かった。
画の恐ろしさで長く見せつけられたと記憶の中で錯覚を起こしてたんだと思った。
それぐらいショックシーンの撮り方が素晴らしいってことだよね。

悪魔に憑依されたリンダ・ブレアが神父達にツバやゲロを吐きかけるシーンが何回かある。
この時の吐瀉物の派手な飛び散り方や生理的な不快を醸し出す吐瀉物の色や粘性が80年代のスプラッター映画にかなり似てるように見えた。
"死霊のしたたり"や"はきだめの悪魔"みたいな妙にポップな色彩でグチャっとしていて気持ち悪いけどファニーで笑える感じがあるんだよな、リンダ・ブレアの吐瀉物吐きかけシーンには、深読みかな笑?

どっちにしても、こういう考察ができるのも名作の証拠だと思う。
話を最初に戻すとロッククラシックの名盤でも、このリフは後に出てくるあのバンドに影響与えたんじゃねえか?みたいな話って出てくるよね笑

つまり音も映像もマスターピース級になってくると後から来た者達への影響を色んな部分に見出だしてしまうってこと、かな笑
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