あき

時をかける少女のあきのネタバレレビュー・内容・結末

時をかける少女(2006年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

主人公の人間性が個人的には非常に気に食わなかった。
自分の都合でタイムリープし、周りの人間関係をぐちゃぐちゃにし、果てには親友とその彼女の命まで失わせる。
なにより気に食わなかったのは、主人公の態度。自分が引き起こしたことに対し責任感を持っていない。友人の恋愛や、親友の命が掛かっていた時には、最善の結果を得るために奔走したが、自分と関係が薄い人間が自分の起こしたことにより虐められることになっても、それに対して罪悪感に苛まれているような素振りは見せず、自らの友人関係を優先して考えていた。
もちろん「高校生なんてそんなものだろう」という意見もわかる。しかしこれはフィクションだ。それもファンタジーものだ。この映画を観ている私はそんな現実的な、まだ精神的に幼い少女が重責に耐えきれず見苦しく足掻く姿を見たいのではない。
私はもっと小説化された、幻想の人物像を求めていた。自分と関係の薄い人間だとしても、自分の引き起こしたことが原因で虐められているのであれば、その解決のために走る。そうすると親友との関係に軋轢が生じるかもしれない。そこで責任感を取るか、自分自身の関係を取るかの葛藤に頭を悩ませる、そういった構図が見たいのだ。初めから他人を切り捨てる利己的な、現実的な高校生なんて見たくない。それは現実で見飽きている。私は現実ではなく小説を、映画を観に来ているのだ。
最後に、ストーリー構成は概して良かったとは思う。物語終盤は正直頭に疑問符が浮くタイミングもあったが、内容は至って理解しやすかった。また、音楽に関しては非常に良く、作品の世界観に綺麗にマッチしていた。本当にひとつ、残念なのは、主人公の人間性があまりに現実味を帯びすぎていたということに限る。
あき

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