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リトル・ダンサーのぉゅのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
3.9
2021年 鑑賞 21-322-21
「愛を読むひと」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」等のスティーブン・ダルドリー監督による、1984年のイギリス北部の炭鉱町ダラムを舞台に、一人の少年が当時女性のためのものとされていたバレエに夢中になり、性差を超えてプロのバレエ・ダンサーを目指す過程を描いた青春ドラマ作品。

1984年。イングランド北部・ダーラムの炭鉱町エヴァリントンに住むビリー(ジェイミー・ベルさん)は、炭鉱夫である父ジャッキー(ゲイリー・ルイスさん)と兄トニー(ジェイミー・ドラヴェンさん)、そして軽度の認知症を患う祖母(ジーン・ヘイウッドさん)と一緒に暮らしている。母ジェニー(ジャニーン・バーケットさん)はビリーが幼い頃に亡くなっていた。当時のイギリスは炭鉱不況の真っ只中で、父と兄は炭鉱ストライキに参加していた。父はボクシングの熱烈なファンであり、近所のジムにビリーを通わせている。しかしビリー自身は、殴り合うというボクシングの特性に馴染むことができなかった。そんなある日、ボクシング・ジムの隅でバレエ教室が開かれることになった。もともと音楽が好きであったビリーは、音楽に合わせて優雅に踊るバレエに魅せられ、密かに教室に参加しコーチであるサンドラ・ウィルキンソン(ジュリー・ウォルターズさん)に師事し、彼女の指導を仰ぐ。ウィルキンソンはビリーにバレエの才能を見いだし、ビリーもそれに答えるかのようにみるみると上達していき...

「遠い空の向こうに」もそうだったが、炭鉱の町では、ベタじゃないものに没頭する少年が出てきがち?ああいう土地柄で、将来の見えない、鬱屈した雰囲気の町故にそういう風になるのだろうか?
祖母の放浪癖、父の圧力、やらされているボクシング... 偶然にもボクシングの練習場の片隅で始まったバレエ教室に興味を持ち、頭で回っている音楽たち、亡き母譲りのダンスの才能... 何よりビリー自身が生き生きしている!移動図書館のシーン、家での鏡前個人レッスン、アラベスク成功のあの表情、最高じゃないかぁ!祖母とのお墓参りシーンも好き。

父の反対、ウィルキンソン先生の存在、ジミーの葛藤...
ジミーが普通にウィルキンソン先生に渡した “手紙” 読んで欲しい... 唐突に流れる涙...
そうか、ビリーにとってはウィルキンソン先生に母を観ているのか!だから、ビリーは先生とずっと一緒にいて、彼の思っていることをぶつけたんだな!だが、タイミングもあるが、ウィルキンソン先生を持っても家族の修復は不可能で...

クリスマスの夜。ビリーの友達のマイケル(ステュアート・ウェルズさん)の行動... やっぱり... でもそれが「自分らしく生きる」と決めたビリーの背中を押し、彼からバレエを教わり... チュチュ付きで(意外にここに来たし、あのシーンのビリーからの●●も来た)。そして、ビリーの父の前での、自分らしいフリーのダンスを披露し、父の気持ち、兄の気持ち、町中の気持ちを変えていくきっかけとなり...

“あいつはまだ11歳だ 子供だよ 子供なんだ すまん許してくれ おれたちは終わりだ だがあいつにはチャンスをやりたいんだ”
父のバレエや息子への気持ち、ビリーの踊っている時の気持ちを聞くとウルっと来る。ビリーや父・兄(バス越しのシーンは来る)・祖母(あの時のハグは堪らなかった)、そして亡くなった母と... 家族で掴んだ未来が始まる作品だ!

それと対比のシーンの挿入が超良かった!中でも特に好きなものが、オーディションでビリーが舞っている時に、所々で挿入される不安そうにビリーを待つ父ジャッキーの姿。そういうところもエモさを感じ、大好きっ!

「白鳥の湖」ラストのシーンも最高だった!
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