のんchan

ハズバンズののんchanのレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
4.1
ジョン・カサヴェテス監督(撮影当時39歳)が脚本し、公私に渡る仲間のピーター・フォーク(41)とベン・ギャザラ(38)と共演して、中年男の悲哀を描いた良作。


ハリー(ギャザラ)とアーチー(フォーク)とガス(カサヴェテス)とスチュワートの4人はニューヨーク郊外で生まれ育った親友同士。
それぞれ家庭を持ち子供も数人ずつ。プールサイドで筋肉自慢したり楽しそうな姿から一転、スチュワートが急死してしまう。

親友を亡くした3人は言い知れない悲しみに襲われる。葬儀後はやるせなさを払拭するためもあり、浴びるように酒を飲み、悪酔いし、居合わせた女性たちに歌を歌わせ絡んだり、朝方まで騒ぐ姿はお下劣。しかし、いくら騒いでも悲しみが薄らぐことはなく虚無感が襲ってくるばかり。このまま家に帰りたくないとなる3人。

ハリーは既に妻との関係が冷めていて、パスポートを持ちロンドンまで行って遊びたいという。仕方なくそれに追随するアーチーとガス。カジノで遊びホテルに女性を連れ込むのだが...

妻に暴力を振るっていたハリー、歯科医のガスは女性の扱いは比較的慣れていそう。大柄な女性が好み?(ジーナを思い浮かべしまう)でベッドだとかなり乱暴。
アーチーは妻のエッチに不満がありそう。

3人とも時代のせいもあるのか?女性がリードするのを好まず、男らしさを掲げたい願望が強い。
かと言って幼稚性もあり母親のキスが大好きだっただの、女性に甘えたい欲望は抜けない。

呆気なく亡くなってしまった親友を想い、自分たちの人生を立ち止まって振り返り、この先を思案する。
逃避したロンドンはずっと雨だった。
結局アーチーとガスはお土産を抱えて帰宅する。
外には可愛い子供たちが待っていて、普段通りの優しいパパの顔に戻ったガスだった。


カサヴェテスによる"夫たち"の足掻きを辛辣かつ感傷的に描いている。男3人の連帯感が羨ましいようでもあり、優れたカメラワークも手伝い、じっくりと3人の表情を楽しめる内容になっていて好きな作品だった。
のんchan

のんchan